情報資源

活動紹介

情報化社会の進展につれて、アートの世界では膨大なデータが行き交うようになりました。アートの理解と活用に情報が大きな役割を果たしているいま、世界に通じる情報集約・提供の仕組みづくりが国に求められています。情報資源グループは日本のアートやアーティスト、全国の美術館コレクションをめぐって調査研究の拠点となることを目指し、情報の集積と国内外への提供に取り組みます。

取り組み

01
全国美術館の
収蔵品情報の
集約と提供

「日本全国の美術館コレクションを一括検索したい」。国内外からのこうした高いニーズに応え、2021年、文化庁アートプラットフォーム事業のウェブサイト「アートプラットフォームジャパン」において「全国美術館収蔵品サーチ(SHŪZŌ)」が立ち上がりました。この検索システムの登場によって、日本のアーティストについて調べるときに、どのような作品がどの美術館に収蔵されているかを俯瞰できるようになりつつあります。

国立美術館は、この「SHŪZŌ」事業を2022年に引き継ぎました。今後は情報資源グループがデータの追加・更新を行い、持続的に運用・発展させていく役割を担っていきます。

美術館収蔵品に関するデジタル・データの作成と公開は2022年、博物館法改正によって、わが国の博物館事業の一つとして明確に位置づけられました。しかしコレクション全件のデータ公開を実現している博物館・美術館は全体の1割にも及びません(令和2年度「博物館の機能強化に関する調査」文化庁委託調査、2021年)。日本のアート情報へのアクセスをめぐる問題の根幹には、そもそもインターネット上に公開されている作品データが限られているという現実があります。

美術館の置かれているこうした厳しい現状を踏まえ、「SHŪZŌ」事業では、インターネット上でアクセス可能な作品データをいかに増やすかという独自の視点でさまざまな取り組みが行われてきました。情報資源グループはこの方針を受け継ぎ、全国の美術館と連携・協力しながら、コレクション情報の集約とデジタル化、日英二か国語での発信に取り組んでいきます。

中長期的には、各美術館におけるコレクション情報の公開促進に資することを目指して、コレクション・ドキュメンテーション(記録管理)の標準化に向けた取り組みを検討していきます。

02
国際的リサーチ
センター機能
確立に向けた活動

「日本のアーティスト〇〇〇〇について知るにはどの文献にあたればよいか」「〇〇〇〇の作品はどの美術館が所蔵しているか」「〇〇〇〇展はいつどこで開催されたか。展覧会カタログは発行されたのか」。日本のアートについて調べる際に生じるこのようなさまざまな疑問に応え、その調査(リサーチ)活動を支援するため、情報資源グループは日本のアートとアーティストに関するリサーチ・ポータルサイトの整備に取り組みます。

日本のアートに関するリサーチの基盤は、欧米圏のそれに比べ、これまで十分には整備されてきませんでした。なかでもアーティストに関する人名事典は、欧米のスタンダードな事典と異なってレファレンス情報(参考文献や主要展覧会等)を欠くことが多く、さらなる調査の材料を提供してくれません。

情報資源グループはこの問題の解消を目指して、文化庁アートプラットフォーム事業のウェブサイトで公開されてきた「作家情報」ページを大幅にリニューアルし、日本のアーティストに関する総合的なオンライン事典を構築することに取り組みます。すでに「作家情報」には、東京文化財研究所の協力により『日本美術年鑑』所載の「物故者記事」が収録されていますが、今後はこれに加えて作家解説文や、主要展覧会・主要所蔵先・参考文献等のレファレンス情報を充実させていくことを目指します。

また「アートプラットフォームジャパン」サイトで公開されている、日本現代美術に関する国内外展覧会のデータベース「日本現代美術展調査」や国内の画廊のデータベース「日本の画廊調査 1945年以降」等のリサーチプロジェクトも継承し、日本のアートの調査に資する情報資源の提供に努めます。アートプラットフォーム事業において英訳された「新訳文献」の公開も引き続き行っていきます。

情報資源グループはこのようにさまざまなレファレンス・ツールの作成や継承・発展に取り組むとともに、既存の事典や文献目録等を紙媒体・電子媒体を問わずテーマ別に案内するリサーチガイドの作成も進め、インターネット上に公開してまいります。

さらに、国内外からの照会や質問に応じる体制を強化し、アートに関して日本を代表するレファレンス窓口の一翼を担っていきます。

03
国立美術館
コレクションの
データ公開に向けた
取り組み

情報資源グループは、全国の美術館を対象とするコレクション情報を集約・発信するとともに、所属組織である独立行政法人国立美術館のコレクション情報公開の促進にも取り組んでいきます。

独立行政法人国立美術館は2005年、4つの美術館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館)のコレクションの基本情報と画像を集約し、オンラインで検索可能にした「独立行政法人国立美術館 所蔵作品総合目録検索システム」をインターネット上に公開しました。その後2018年には、来歴など各作品の歴史に関わる情報(来歴・展覧会歴・参考文献)の公開を目的にシステムの機能拡張を行い、今日にいたっています。

今後はこうした美術作品に加えて、国立映画アーカイブが所蔵する映画フィルムや、国立美術館各館の蔵書、研究活動の成果など、国立美術館の多様なデータベース群の一括検索を可能にする「国立美術館サーチ」を構築し、その公開と発展に取り組んでまいります。

あわせて、国立美術館各館における以下の取組みを推進しています。
林忠正関連書簡・資料集国立西洋美術館
映画遺産 ―国立映画アーカイブ映画資料ポータル―国立映画アーカイブ

国立美術館サーチ(試験公開版)

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(情報資源担当)