参加者の声
「平成29年度 美術館を活用した鑑賞教育の充実のための指導者研修」終了後に実施したアンケートで、参加者81名から有効回答が得られました。以下に、選択回答の結果と自由記述からの抜粋をご紹介します。
1.研修全般について
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- 美術館で行なわれる内容の濃い研修で、学びの多い充実した素晴らしい時間を過ごすことができました。鑑賞教育を考えることを通し、自分の地域で鑑賞対象に活用できる「もの・人・こと」を再発見したいなと、教材研究の意欲が沸きました。今回は関西での開催が初めてということでしたが、次は同じ関西の大阪開催ができると嬉しく思います。2日間ありがとうございました。グループワークやワールドカフェで様々な方とお話しができ、つながれたことが一番の学びでした。ありがとうございました。(小学校教諭)
- 「もっと聞きたいな」「もっとじっくりやりたいな」と思う場面がたくさんありました。振り返ると、それだけ私が主体的に参加できていたのだと思います。そのように思える研修って、実は身近にあまりないように思います。学びに向かう力が育成せれていたのですね。楽しく学べた貴重な時間でした。ありがとうございました。(小学校教諭)
- 2日間の研修、どれも内容が充実していました。美術館側スタッフの丁寧な準備のおかげだと感謝しています(事例発表にあった風神雷神図屏風を鑑賞しに建仁寺まで行きました)。この2日間を振り返りながらもまだ十分な整理ができておりませんが、研修期間は豊かでとても楽しく幸せな時間を過ごせました。現場では味わえない空間と研修スタイルでした。各都道府県から参加され初めて会う方々とも、すぐに親しくなれたのが不思議でしたが、きっとワールドカフェ効果もあるのかしら?と感じ、実際に学校でも取り入れてみたいワークショップでした。なによりもやはり美術館で研修できたことが最高でした。大事な作品を題材に研修させていただき、ありがとうございました。このドキドキわくわく感を子供たち一人ひとりに還元できるような鑑賞教育を目指して、現場で頑張ります。勇気と気づきと発問方法と研修スタイルのあれこれを学び、改めて鑑賞教育とは?と自問自答する日々です。大変有意義な2日間でした。(中学校教諭)
- ファシリテーターの方や、運営に関わっておられた皆さんが、とても親切で良い雰囲気の中、研修を行なうことができました。意見や質問が言いやすかったです。また講演の内容も、学習指導要領の改訂に関わるタイムリーなものと、物事の表層と深層、それらと感性の流れについてなどの普遍的な課題についてで、それぞれ興味深かったです。事例発表やグループワークなどとの時間的、内容的なバランスも良かったです。ありがとうございました。(中学校教諭)
- 2年前に本研修を受講し学芸員の免許取得を決意した。仕事をしながら、単位取得及び実習に励んだ。私にとって、今年度研修時、資格取得間近であることは感慨深い。 今回の研修で、様々な立場の方々と、時間を忘れて討議を重ねることができた。実情や理想を語り合ううちに、授業作りや美術科の精神性において、指針となることやキーワードをいただくことができた。皆さんの鑑賞教育への熱意の触発され、今後の自身の教材研究や授業作りに工夫を凝らす意欲が湧いた。(中学校教諭)
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- 鑑賞教育という視点で、これからの教育について考えることができて非常に満足している。できるものなら毎年参加したいと感じるものだった。充実した2日間でした。ありがとうございました。(高等学校教諭)
- このような研修がすでに12年も行われていたとは全く知りませんでした。学校からは自費であれば申し込み可と言われながらも、私は是非参加したいと申し込みました。目から鱗でとんでもない収穫を得ることができました。この事業にはさらなる予算を何とかつけていただき、鑑賞教育の重要性と全国の先生方との交流を1人でも2人でも多くの先生方に味わうことができるようしていただきたい。今回の研修で得たことを生徒たちに還元できるよう振り返りを行ない、尽力したいと思います。本当にありがとうございました。(高等学校教諭)
- 大変貴重な経験をさせていただきました。許されるなら毎年でも参加したいと思いました。この研修で様々な場所で、美術に真剣に向き合っている先生方を知ったことも大変刺激になりました。(指導主事)
- 以前から他機関の意見や取り組みを知りたかったのですが、これまでその機会を持つことができませんでした。今回、グループワークやその他のプログラム、ちょっとした空き時間などに、各先生方の取り組みを窺うことができ、たいへん大きな知見を得ることができました。なにより、全国でこんなにも多くの方々が、鑑賞教育について積極的な取り組みを行ない、今後いかにしていくべきかを真剣に思案されているという事実を、討論などを通して知ることができ、とても励まされました。鑑賞教育という分野に、より積極的に取り組みたいという気持ちを新たにすることができました。(学芸員)
- 全身を使って美術の事を考えたのは久しぶりだったと思います。学びの多いとても濃厚な2日間でした。私は大学附属の美術館に勤務しているのですが、来館者の多くは学生です。もちろん附属美術館は学生の学びのためにある場所ですが、この研修を通してもう少し視野を広げて地域や社会とつながった活動を意識すべきだと思いました。小学校から高校までの先生方と交流できたことで、協力していろいろな活動をしたいと思っている学校がたくさんあることを知りました。鑑賞を通じて地域とのコミュニケーションや新たな関係を作れるのではないかという希望が生まれました。(学芸員)
2.グループワークについて
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- 美術館で行なう鑑賞授業の視点やヒントを学ぶことができました。立体作品や平面作品、また着物等の伝統工芸品など特徴的な作品で授業を考えることで、発達段階を考慮して作品を選ぶことや作品情報の与え方、また鑑賞の形態などが大切だと改めて感じました。そして「本物の作品と出会う」時に、子どもと作品をつなぐ教師(ファシリテーター)の役割の重要性も感じました。子どもの発言が活発になる声かけのバリエーションを学びたいと思いました。グループワークに楽しく参加でき、本物の作品を目の前に、じっくり授業作りを考えるとても贅沢で貴重な経験ができました。ありがとうございました。(小学校教諭)
- 大きな窓から外の風景を見ながら…「誰でも見つけられるものは何ですか」「私だけが見つけられるものは何ですか」「誰にでも考えられる質問は何ですか?」といった感じで、鑑賞での質問について考えた。鑑賞者の考えや思いを引き出すためには,どんな質問がよいか。作品を見る順番は?一つひとつ丁寧に話し合いながらグループの考えを深めていくことができた。このような鑑賞活動が学びであり、創造活動だということを改めて感じた。(小学校教諭)
- 鑑賞教育についてのグループワークは、美術館という空間や生の作品の前でもあり、とても新鮮で生き生きとした活動でした。様々な視点や気づきがあり、発問の仕方で、表現する言葉が豊かになることを学びました。鑑賞教育は思考力、判断力、表現力を育てるためにも大変有効な教育になると思います。更に学芸員と教諭の立場の違いが理解でき、今後の美術館鑑賞教育についてとても参考になりました。(中学校教諭)
- 私たちのグループは生徒の立場になって実際に鑑賞を行なってみることで、指示のわかりやすさ・発問の適切さ・資料の提示のタイミングなどを改めて考え直す機会になりました。教師はわかったつもりでいても、伝わっているのかどうかや提示するものの選別など、自分を客観的に見る力は重要です。またほかのグループの発表を聞くことで、授業としての展開でどういう組み立てをしてくかがグループによって全く違っていて、同じ作品をそれぞれ考えてもおもしろいだろうと感じました。(中学校教諭)
- 小学校や特別支援学校での取組みやアプローチの方法を、グループワークを通して学ぶことができました。また、問いをたてるという共通認識によって、他のグループワークの発表を聴く際にも、思考の変容やアプローチの留意点を意識できたと思います。グループ内での導入も参考になりました。(高等学校教諭)
- グループワークでは、ファシリテーターの事前準備が徹底されており、当日はスムーズな進行のもとで、鑑賞が深まる様子が体験できた。アイスブレーキングを兼ねた小グループでの活動では、福島県立美術館の提示するART CUBEの活用方法が紹介されて、今回の研修に対する自己課題の解決に一歩近づけたように感じた。複数施設の学芸員の生の声を聴き、教員の立場では想定できないような事柄や対処法を一緒になって検討するなど、貴重な経験となった。(高等学校教諭)
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- 横山大観《飛泉》を前に、長時間で贅沢な鑑賞体験をさせていただきました。作品の良し悪し等の考えを自身の言葉で言語化して対象へ届ける批評。三澤先生の一言一言が、真に迫る問いと良い意味での揺さぶりを与えてくださいました。批評文の作成と発表を通して、グループメンバーの視点の鋭さや作品の魅力に近づき、批評への理解を深めることができました。美大受験を目指していた時、ロンドンのナショナルギャラリーの作品の前で何時間も座り続けた頃の感覚に立ち返ったような思いです。後の講演で神野先生がお話されていた、概念的理解によって捨ててきたものを取り戻す時間がそこにはあったと感じています。(高等学校教諭)
- 学芸員さんと同じグループになったことで、目指す子供を共有して鑑賞プログラムを作成する大切さを学ぶことができました。(指導主事)
- 授業を作るワークの中では、今までなかった視点や考え方に気付く場面が多くありました。美術館、学校側で着眼点が違うというのも興味深く、勉強になりました。スタッフ向けのワークショップを企画していたこともあり、手法という点においても、共通点や新たな発見があり興味深かったです。(学芸員)
- 短い時間でも、どんな環境でも、同じ意識を持った人が集まれば、色々なことができると実感できた体験でした。「質問を考える」というキーワードをテーマに進めた「鑑賞ツアー制作」では、「自分にしか見つけられないもの」を鑑賞ツアーの中で考えさせることによって、作品を理解することから巡り巡って自己理解・他者理解へと繋がっていくことを学びました。鑑賞ツアーは短い時間でしたがグループのメンバーそれぞれの専門や能力を生かした楽しいツアーができたと思います。皆さんの対話する力に驚きました。またいろいろな視点でものを見ることの大切さを実感しました。(学芸員)
3.グループワークの経験を今後どのように生かしたいと考えますか
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- 今回のグループワークでの研修で特に考えたのは「作品との出会い」の大切さである。作品作りに興味があっても、鑑賞する意欲があまりない児童は少なくない。今回のグループワークで学んだように「作品の出会い」を工夫し、友達と様々な視点で意見を交わす中で、新たな発見や考えに触れる楽しさを感じさせていきたい。また、そこから新たな制作活動につなげていけるような授業を展開していきたい。(小学校教諭)
- 子どもの気付きを引き出す方法を学んだことを生かして、子どもに自信を持たせながら発言できる場作りをしていきたい。他の人と会話しながらひとつの作品を鑑賞する活動を通して、人間関係を深めることができた。人間関係作りが、児童の創作活動でも教員の授業作りでも大切だと実感できたので、自分自身の対話の仕方をこれからも高めていき、よりよい授業作りをしたり、自分の考えに自身がもてる児童を育てていきたい。(小学校教諭)
- 学校での鑑賞でも、作品と向き合う時間を十分に確保すること。対話を通して、多くの見方や考え方があることを理解できるようにすることを大切にしていきたいと考えます。生徒が自由に自分の思いを語れるような雰囲気を作り出すことも大切にしていきたいです。また、本物の作品だからこそ感じるものがあることを再確認したので、美術館などをもっと活用していきたいです。(中学校教諭)
- グループの中には美術館の学芸員の方がいらっしゃったので、中学校教員とは違うものの見方や子ども観を知ることができました。学校の中だけで子どもを育てるのではなく、社会とつながった視点で子どもを育てていくことが大切だと思いました。(中学校教諭)
- 最初に、教師として作品を見る前に、一人の鑑賞者として感じ感動することを忘れずにいたいと思いました。そして、作品の感動を生徒により知ってもらうためにどのような手段がとれるのかを独りよがりではなく、客観的に考える姿勢を大切にしていきたいと思います。また常に生徒に身に着けてほしい力を考え、それを意識しておくことを忘れずにいることを当たり前にし、ほかの先生方の発想を授業に取り入れていきたいと思います。(中学校教諭)
- 対話型の鑑賞活動のすばらしさを体験したことで、鑑賞教育の大切さを痛感した。ファシリテーターが個人の価値観や考え方を押し付けたり、特定の答えに誘導したりすることなく対話型の鑑賞を実施するにはどのようにすればよいか、という数年来の課題の解消につながる参考意見や資料を提示してもらえた。この経験を生かして、探求型学習や協調学習などと組み合わせて授業を行ないたい。(高等学校教諭)
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- まずは、県内の高校の美術教員と情報共有し、鑑賞教育を普及したい。また、県内の美術館と連携し、自校の実践に結びつけていきたい。作品の選定では、デザイン分野という新たな視点を得ることができたので、是非授業で実践してみたい。(高等学校教諭)
- 現在、美術館に勤務し、学校連携に携わっていますので、高校と連携した鑑賞授業に生かしたいと思います。また、鑑賞教育についての教員からの要望や相談も多い中、今回のワークで学んだことを先生方に伝達し、自分自身活用していけるよう更に生徒へのアプローチの仕方を深めていけたらと考えています。(指導主事)
- 学芸員の立場でしか学校の授業にかかわった経験がない自分としては、多くの教員の方々の視点を吸収できたことは大きな収穫であった。その経験を生かし、学校側のニーズと博物館側が伝えたいことの双方がより深いところで交わるような鑑賞の授業の組み立てに関わっていきたい。また、博物館からも学校に働きかけていきたいと考える。(学芸員)
- 中学校教員の方とのグループワークを通して、先生方が生徒に学んでほしいと考えていることを知ることができました。これから館で学校団体を受け入れる際の体制作り、プラン作りのなかで生かすためにどのような方法がよいのか、さらに教員の方と相談しながら、考えていきたいと思います。(学芸員)
4.アートカードワークショップについて
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- 3つのアートカードゲームを体験しました。どれもカードを通してその人の感じ方や思いを知ることができ、短い時間でしたが初めてお会いする方と距離が近づく瞬間を感じた時間でした。アートカードの良さを改めて感じました。低学年から積極的にアートカードを活用し、絵を見ることはもちろん「絵と自分」「絵と友だち」「自分と友だち」というように絵とつながり友だちともつながっていく活動をしていきたいと思いました。(小学校教諭)
- カレンダー作りと似たものつながりゲームに参加し、どちらの活動も楽しむことができた。カレンダー作りでは、自分の体験をもとにした鑑賞ができることが分かった。似たものつながりゲームでは、色や形、描かれているものの共通点を探しながら、絵に描いてあるものをよく見ることができた。今までとは違う絵の見方が自然と身につけられると共に、児童が友だちと楽しみながら鑑賞することができるので、学習のウォーミングアップとしても取り組んでみたい。(小学校教諭)
- 存在は知っていたが、実際に自分が参加してみてわかったことやアートカードの面白さに触れることができ楽しかったです。カードのつくりや、やり方だけを知るよりも参加して触れることで納得できました。(中学校教諭)
- どんな答えでも受け止めてくれる、用意されたカードが多彩で様々な思考を働かせることにぴったりのもので楽しかった。知らずのうちに、美術を介してコミュニケーションがとれるのはいいことです。(中学校教諭)
- 地域の文化財や街の中で見ることのできる身近な作品をアートカードにすることで、美術作品への親近感も増すようなアプローチができるのではないかと、改めて思いました。まずは自分の好奇心から、地域の文化財などなど、探してみたいと思います。(高等学校教諭)
- 初めてアートカードを使ったゲームを体験しました。以前からアートカード自体は知っていたのですが、こういうもので鑑賞ができるのかという懐疑的な印象が強くて、取り入れてはいませんでした。しかし、体験すると面白くて、生徒にもさせてみたいと思いました。2学期に入ったらすぐに15セットほど購入いたします。(高等学校教諭)
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- 買ってはみたものの、活動の仕方がワンパターンになっていたが、今回他の活動を知ることができて、さっそくやってみたいと思った。まだまだアートカードの存在は知られていないので、紹介していきたいと思う。(指導主事)
- 図画工作美術の授業開きに活用したいと思いました。これは楽しいです。思考します。(指導主事)
- 思っていたより簡単だったので、もっと活用していきたい。鑑賞というと、非常に難しいと思われがちだが、「あそび」として鑑賞の入口を作ることができるということがわかった。私のように学芸員でも知ってはいるが活用したことがない方もいると思うので、広める意味で今後もこのアートカードに触れる機会を作っていただきたい。(学芸員)
- 作品の共通点を見つけるゲームを行ないました。作品の共通点を見つけ出し、対話しながらみんなで作品をじっくり見ていきます。自分なりに共通点を見つけそれを他の人と共有する体験は自然と会話もはずみ楽しい体験でした。美術館に行く前の事前学習や、導入にも使える面白いツールだと思いました。(学芸員)
5.事例紹介について
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- 小学校の事例「子ども美術館鑑賞教室」では、美術館と連携してこのような活動ができるんだと驚きました。鑑賞教育がなかなか現場の先生に広がらないことが課題としてあるので、教師自身が主催して鑑賞のよさや楽しさを伝える取り組みに、私の市でも何かできないかなとヒントを頂いた気がしました。また、中学校・高校の報告からも、やはり伝統文化や文化財と子どもをつなげていく授業づくりに魅力を感じました。まずは自分の市の文化財を改めて調べようと思いました。(小学校教諭)
- 多くの人との連携により、よりよい活動が生み出されていくことが分かった。また、児童・生徒が体験・実感することで喜びや驚きが、学習意欲や創作意欲につながることがわかった。一人で悩まずに、学芸員さんと相談して、よりよい学びの場を用意できるようにしていきたいと思った。(小学校教諭)
- どの事例もこれから生かしていきたいと思うものばかりでした。本物を見ることの価値を改めて実感しました。地域にある文化財や美術作品、美術文化などをまず自分自身が知ることが必要だと思いました。風神雷神図屏風の鑑賞の事例では、教室環境の工夫など、生徒が作品に入り込める場の設定を取り入れていきたいと思いました。(中学校教諭)
- 異校種の実践発表や美術館の実践を知り、刺激を受けました。本物を見ることの大切さを感じ、授業の展開を工夫するとともに、地域資源の活用を考えていきたいと思いました。(中学校教諭)
- 国や地域の伝統文化を、現代の子ども達の新しい感覚を取り入れながら、継承し、創造し、愛着をもたせる徹底した授業展開に驚いた。地域人材の活用など取り入れていきたい内容が沢山あった。(中学校教諭)
- 茶道とアールブリュットのテーマも興味深く、地域の専門家を招き、生徒たちの考えを具現化していた高等学校の事例紹介に感銘を受けました。知ることで考えを深めて小論文にまとめるというプロセスも、学校の美術の時間で大切にしていきたいアプローチの仕方だと思いました。(高等学校教諭)
- 教師の情熱を感じ取ることができました。膳所高校山崎先生の取り組みは、キャリア教育の極みで、私が理想としていたことをまさに現実のものとされており、勉強になりました。(高等学校教諭)
- 先生方及び美術館が日々考え、様々なアプローチの仕方で子どもたちへの鑑賞教育を行なっていることを知り大変参考になりました。また、その地域や環境を生かすという、独自の展開の仕方もあると学びました。決まった型にはまらず、周囲の環境や人々を巻き込み、より身近で効果的な鑑賞教育が子どもたちに必要であることを学びました。(指導主事)
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- 非常に勉強になりました。当館ではもともと鑑賞教育に力を入れていましたが、案外、型にとらわれていたかもしれないということに気が付きました。その地域の特性もあるし、教師の先生方、学校の方針なども加味して子供たちにより良い鑑賞教育を探る必要があることがわかりました。特に、滋賀県の高等学校での茶会の授業は衝撃でした。限られた時間の中、あそこまで充実した学びができることも驚きでしたが、何より、鑑賞から実際に手でつくり、五感で感じることができるのは、鑑賞を越えた素晴らしい学びだと思いました。これは、子供たちが社会に出てから生きていく上で非常に有効な体験だったと思います。社会では感じて学び考え、行動する、その繰り返しだからです。このような授業を一緒に作り上げられたらいいなあと思いました。(学芸員)
- 社会と連携し、アートの多様な価値観に触れる授業が各地で精力的に行なわれていること、そのユニークな取り組みを知って元気が出ました。地域の芸術文化を題材にすることやそこに住む人、企業やNPOの協力を得ることに可能性を感じます。公共の施設ならではの人脈を生かして学校への提案や橋渡し、コーディネートができればと思います。メディアアートの鑑賞について今まさに悩んでいる最中、利用者の活動の場のデザインにも興味があるので、朴さんと色々お話したくなりました。(学芸員)
6.ワールドカフェについて
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- 全国の先生方や学芸員の方と課題に対する意見を交わすことで、美術館をもっと活用してもらうための方向性が少し見えたような気がした。また、今回楽しく意見交換できた方とのネットワークを大切にし、今後も情報交換できるようにつながっていきたい。これを機に、さらなるネットワークを構築し、美術館における教育普及を進めていきたい。(小学校教諭)
- ワールドカフェという手法での話し合いの仕方で、リラックスして話し合うことができた。旅人のように他の机に行くと、違う考えに遭遇することができ、考えを広げることができた。また、自分が見て、聞いてきたことを、元の場所で話すことにより、考えたことがより心に残る話し合いの方法だと感じた。この方法を校内の研修でも取り入れたり、児童の話し合いの方法としても取り入れていきたい。(小学校教諭)
- 「鑑賞が子どもたちにもたらすものは」という問いに対して、意見を交わす中で、今まであまり意識していなかった鑑賞の授業を通して長期的に子どもたちに身に着けてほしい力について考えることができました。1時間の鑑賞の授業で完結するものではなく、生涯にわたって美術と関わっていくために社会とつながるという視点をもって授業を行ないたいと思いました。(中学校教諭)
- 近隣の学芸員、教員が顔見知りになることができたので、今後のネットワーク作りが楽しみである。皆さんの、深い考えや熱意が響き、自分にとって大きなキーワードや指針をいただいた。(中学校教諭)
- 質問があれほど考えられて作られていると知り驚いた。同じテーマについて話し合っているのに、テーブルによって全く方向性、アプローチが違うことにも驚いたが、本質的には教育へつなげていこうというところは共通してあり、教育に携わる人々だなと面白くも感じた。(中学校教諭)
- 評価をともなう学校の取組とはまた異なる視点をいただき、一美術ファンとしての認識を改めて思い出し、原点回帰の良い時間となりました。また、作品貸出後の燻蒸の話題など現実的で具体的な話題に触れたり、鑑賞へのユニバーサルデザインの視点からの取組が試みられていることも学べました。(高等学校教諭)
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- 美術館学芸員や全国の教員と様々な形で意見交換ができて良かった。鑑賞教育や美術館の取り組みも地域性があり、地域が違えばやり方も違い、考え方も違い、その違いを互いに話し合うことで、鑑賞教育へのアプローチに対する深い話題となっていった。(高等学校教諭)
- 事例とテーマとがリンクしていて、次期指導要領の方向性とぴったりのところが多く、周知していくことに生かせると思いました。(指導主事)
- ワールド・カフェ方式は初めての体験で、はじめどのように議論が展開するか不安もあったが、徐々に思考が柔軟になり、多くのアイディアを出し、また得ることができた。「鑑賞」が子供たちにもたらすものの深さ、広さを改めて感じるに至った。答えのない「鑑賞」の旅で出ているような感じだった。(学芸員)
- 鑑賞教育に関心をもつ、多くの先生方や美術館学芸員と広がりのある対話ができました。他のグループの話題から新しい視点を得て、これまで意識の及んでいなかった範囲まで鑑賞教育の効果や可能性を見出すことができました。職種や立場が違ってもアートに出会うことについての価値観や願いは共通していることが分かり、仲間になれたような親しみと心強さを得ました。(学芸員)
7.講演について
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- 東良調査官の学習指導要領の改訂のお話から、子どもたちの「造形的な見方・考え方」を働かせるために、定まった価値を学ぶのではなく、様々な扉と出会わせることの重要性を改めて感じました。心豊かに感じ取る力を育むために、「もの・ひと・こと」とのつながりを意識した授業づくりに努めたいと思いました。そして、神野先生のお話にもあったように、作品の本質を知るには、その作品や作者の文脈(背景)を知ることが大切であることから、作品について与える情報量によって、また情報を理解する力によって、捉え方は様々で価値づけも異なると感じました。発達段階の考慮やねらいによって授業展開をきちんと考えていきたいと思います。また、「なんだこれは!」と感性に訴えかける体験を子どもたちとたくさんしていきたいと思いました。(小学校教諭)
- 東良先生の講演では、子どもの思考や学び合いを活性化させるために、児童や道具の位置、思考を広げるためのホワイトボードの使用など、すぐに改善できる工夫の仕方が分かり、これからの授業に生かして生きたいと思った。また、児童が様々な視点に気付くためにも、人間関係を充実できるような授業を展開していきたいと思った。神野先生の講演では、子どもの発見、驚きを大切にしつつ、見えているようで、見えてないものにも気付ける知識の重要性を学ぶことができた。人の意見に流されて、楽な思考を選ぶのではなく、多方面から思考し、その結果自分で自分の気に入ったものに価値を付けられるようにしていくことが人生の中で大切になると思った。(小学校教諭)
- 美術の使命を強く意識できました。とにかくやる気が出る内容でしたが、指導要領がもっと自分にとってわかりやすいものになってほしいとも思いました。皆さん読んで理解ができるのはすごく能力が高いです。このような内容の美術教員がやる気が出るような勉強会を各自治体で実施して欲しいと思いました。(中学校教諭)
- 新学習指導要領についてわかりやすくご説明いただき、理解を深めることができました。ありがとうございました。疑問に感じたことは、「扉」の講話のところで、様々な扉は並列の関係だけではなく、複雑に絡み合っているのではないかと思いました。また、そのようにつなげたり広げたりすることが教師の役割なのではないかと思いました。(中学校教諭)
- 神野先生のお話は、心地よい形と色だけでいいの?とついつい後回しになってしまうような美術の文脈の部分に焦点を当てられていて、ハッとさせられました。内容盛りだくさんで、とても時間が短く感じました。(中学校教諭)
- 東良先生の講演では、生徒たちに多くの扉と出会わせることについてが印象的でした。神野先生の講演では、私自身モヤモヤと日頃感じていた部分に光りが射したかのようで、様々な作品や事象に対して感想や思いを抱くこととは別に、真にあるものは何なのかを見つめ返す重要性を感じました。(高等学校教諭)
- これまで他の研修や講演で、学習指導要領改定の背景にある高大接続などの教育改革の話を伺うたびに、改定の進む方向に喜びを感じるとともに、「芸術こそ、その効果が大きい」と期待を寄せていました。しかし、他教科を含めた全体の話では芸術に話題が及ぶことはなく、趣旨の個人的解釈によるズレが生じてしまうことを心配していました。今回、お二人の明快な講演によって、視界がとてもクリアになりました。貴重なお話をありがとうございました。(高等学校教諭)
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- 神野氏の講演は、ものの見方という内容で鑑賞教育を行なうときに陥ってしまいそうな問題点を指摘されており、教育現場でも十分気をつけなければいけないと思った。内容も心に響いた。(高等学校教諭)
- 東良先生の講演のお陰で、これから目指す図画工作美術の方向性が具体的にイメージできたように思います。特に窓(資質•能力)のお話は強く共感します。私の今の立場上、東良先生の研修冒頭でのお話は本研修の他の内容を捉えていく上でも非常に重要でした。(指導主事)
- 学習指導要領の紹介も含んだ東良氏の講演は、教育現場における鑑賞教育の可能性を示すものだと感じた。神野氏の講演は学芸員全体にとって重要な問題を取り上げていた。学芸員とは、表層的な鑑賞体験から、その一歩先へと導く案内者であることを忘れないようにしたい。(学芸員)
- 学習指導要領の改訂は、博物館の立場では内容を深く検討する機会は少ないので、教育における美術科の役割などを改めて確認する機会となった。物事を文脈で理解する重要性についての問題提起は、自分の中に漠然と存在していた疑問符に呼応するものであり、美術鑑賞に関わるものとして非常に重く受け止めなければならないと感じた。(学芸員)
- 学習指導要領改訂についての解説から、学校に対してアート施設ができることや需要の広がりが期待できると感じました。先生方にとっては「やることが増えた」という焦りや抵抗感につながるかもしれないので、学校ごとの教育計画や要望をよく理解し、お互いに有意義な関係を築いていきたいと思います。また、自身の感性と事実に基づいた認識と思考を繋げて物事を深く見通すことは、グループワークで取り組んだ「批評」に似ていると感じました。アートが視点や認識を切り替えるスイッチとなり得ることを示し、その先の興味に鑑賞者が主体的に進めるよう、より印象的な出会いの場を作っていきたいと思います。(学芸員)
8.この研修の経験を、現場でどう生かしたいですか?
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- 鑑賞教育のとらえ方が変わりました。造形活動と同じように内面を表現していく活動であることが分かりました。内面を形に表すのが造形活動で、内面を言葉に出したり、心に刻んだりして残っていくものが鑑賞活動であると解釈しました。今回、自分で学び体験することで、楽しく味わい学ぶことができたので、この感動を子どもたちに伝えられるような授業を展開していきたいです。(小学校教諭)
- 自分の学校では、人権の指定を受け、人間関係づくりを大切にした取り組みを多く取り入れている。今回の研修でも、美術作品を通して、人と関わり合いながら、思考を深めたり、新たな考えを生み出す活動ができ、図工の学習の中でも、人との結びつきを大切にしながら多様な意見で自分の考えを深め、自分が選んだものの価値に気付くことができると分かった。日々の学習の中で、この研修で学んだ人との結びつきを大切にした声かけの仕方や場の設定、地域社会の人材や文化遺産などの活用に、積極的に取り組んでいきたいと思った。また、詩の創作にも力を入れていることから、五感をイメージした詩で絵を読み取る方法を詩の創作に生かしていきたい。ワールドカフェで学んだことを生かして、校内の教員間の話し合いの場をさらに発展できるよう、伝達していきたい。(小学校教諭)
- 山間部の小さな学校で、地域にも美術教師が私だけの環境で(非常勤講師は2名います)さびしくひっそりと活動していました。観賞に自信が持てず消極的でしたが、これからは観賞の授業に対して自信を持って研修で得たことを積極的に授業で取り入れていきたいと思います。特に、対話の大切さや自分の考えをもって伝えること、異なった価値観などの重要性を実感しました。そして、小さな実践から美術科の必然性をアピールできたらと思います。(中学校教諭)
- 学校以外の外部(美術館等)と連携することで新たな授業の展開が可能になることを、改めて感じることができた。また、地元の文化財や素材等に目を向けてみることも大切だと思った。美術の年間授業時数が少ないなかで、系統性を持たせ、かつ横断的な活動が可能な題材を考えていくことも重要であると感じた。鑑賞では生徒が感じたことをいかに引き出せるか、また深められるか、教師が投げかける言葉の質やタイミングをファシリテーターの方から多く学ぶことができた。これらのことを今後の学校現場で生かしていきたい。(中学校教諭)
- 本市美術科教員が集まる研修会にて研修内容を発表したり、市の研究紀要にもまとめた資料を載せたりする予定である。2学期にVTSを絡めた鑑賞授業予定なので、グループワークで皆と練った鑑賞授業計画案も参考にしながら指導案を作成し展開したい。授業後、その指導案や成果も、前述の研修内容発表会で参考事例として発表したい。学習指導要領の変更点やそのポイントを、美術科教員にしっかりと説明し、美術科が果たす役割を認識し合える場を作りたいと思う。(中学校教諭)
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- 授業に鑑賞教育を取り入れる時に色々悩むところがあり、その解決へのヒントがいただけたら、という気持ちで今回は参加した。研修が終わって感じているのは、具体的にこんなときはこうすればよいという答えを得たというよりもむしろ、鑑賞教育を授業に取り入れる視点が大きく変化した、ということである。特に「鑑賞で教える」という視点が得られたのは大きな収穫だった。視点が変われば鑑賞のめざす課題も変わりそれが解決への道につながったように感じている。大きなことは急にはできないが、まずは目の前の生徒を対象に今まで私の中になかった新しいテーマでの鑑賞の授業を考えてみたい。(高等学校教諭)
- 「美術」の時間にとどまらず、「総合」「人権」などの時間にも、子どもと関わるすべてにおいて今回の研修を生かしていきたいと思います。コミュニケーション活動を豊かにできるよう務めたいと思います。(高等学校教諭)
- 教育普及の立場から、学校と連携し、鑑賞教育の場として美術館が大いに活用されるように、美術鑑賞の必要性や美術館の活用法を伝えていきたいと思います。また、特に小学校においては、専門外の教諭も多いため、鑑賞指導に迷う声も多く耳に入ります。今回の研修で得た知識やこれまでの経験を踏まえて、鑑賞教育のあり方をもう一度自分なりの見地に立って考え直し、学校の中でいかに指導し、子どもたちの能力を育てていくか模索してゆきたいと思います。(指導主事)
- まず、当館の中で鑑賞に対する考え方を話し合ってみたいと思います。そして、当館の鑑賞授業の形を探ってみたいです。また、近隣の学校の先生方にもお話してみます。諏訪地域には先生と学芸員の参加する美術教育研究会がありますので、そちらで今回の研修についてお話したいです。また、図工美術以外の先生方へ向けての鑑賞授業のアンケートをとってみます。どのような希望があるのか、考え方があるのか、知りたいと思います。地域の理解も必要だと思いますので、ギャラリートークにグループワークのような鑑賞を入れてみたいと思います。また、今後も学校との連携を続けて、子供たちに直接関わることを怠らないようにしたいです。(学芸員)
- 「鑑賞を通じてどんな力を身につけさせたいのか」という具体的な目標を意識することで、今まで学校側と漠然と組み立ててきた鑑賞の授業が、今より深い鑑賞体験を子供たちに提供するものになるよう取り組んでいきたい。また、鑑賞プログラムは対象とする作品の性質、対象とする年齢に応じた組み立てを意識し、「いま」と「将来」を見据えた取り組みにつなげていきたい。また、博物館として学校側に提供できるプログラムの質を充実させ、さまざまな鑑賞の扉を提案する準備をしていきたい。(学芸員)
※ アンケート結果を表した円グラフでは、小数点以下を四捨五入したため、合計が100%にならない場合があります。