センターについてセンター長ごあいさつ

世界の政治、経済、社会が複雑さや不確実性を増し、包摂性、ダイバーシティ、サステナビリティなどの追求が分野を超えた地球規模の喫緊の課題となっています。一方、この数十年の間に経済成長を遂げたアジア太平洋地域では、美術館、芸術祭、アートフェアなどアートに出会う機会も拡大し、そのあり方も多様化しています。世界各地の芸術文化交流、美術館活動にもこうした変化は反映され、コロナ禍を経た今日、日本のアート振興策はまさに新しい時代を迎えようとしています。

日本に初の国立近代美術館が創設されて70年。美術や美術館を取り巻くグローバルな動向を踏まえ、我が国のアートが世界の美術界と接続し、関係性を拡充し、持続的に発展していくために、次世代を見据えた戦略的かつ長期的な取り組みが求められています。この度、独立行政法人国立美術館本部に設置された「国立アートリサーチセンター」には、個々の美術館活動を越えてさまざまな活動をつなぎ、日本のアート振興を推進し、その芸術的、社会的価値を築く中心的な役割が期待されています。アートを社会にますます広く浸透させ、同時に専門性を深めるためのプラットフォームとして、国立アートリサーチセンターの活動はこれから始まるところです。さまざまな声を反映し、学びと議論を重ねながら、日本のアート振興のために何ができるのか、みなさんとともに考えて参りたいと思います。

2023年3月28日
国立アートリサーチセンター長
片岡真実

国立アートリサーチセンター長
片岡 かたおか 真実 まみ

撮影:伊藤彰紀

ニッセイ基礎研究所にて文化芸術関連の研究員、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003年より森美術館勤務、現在同館館長(2020年~)、2023年に国立アートリサーチセンター長着任。2007~2009年はヘイワード・ギャラリー(ロンドン)にて、インターナショナル・キュレーターを兼務。第9回光州ビエンナーレ共同芸術監督(2012年)、第21回シドニー・ビエンナーレ芸術監督(2018年)、国際芸術祭「あいち2022」芸術監督。CIMAM(国際美術館会議)では2014~2022年に理事(うち2020~2022年は会長)。2018~2022年度は「文化庁アートプラットフォーム事業」のステアリングコミッティー「日本現代アート委員会」座長。その他、文化審議会文化政策部会臨時委員、日本ユネスコ国内委員会委員など委員、審査員等多数。

センター長のごあいさつとセンターの事業紹介
(2023年3月8日記者発表会の一部)

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