2024.06.21

特集|NCARピックアップ Vol. 1 アートプラットフォームジャパン

「NCARピックアップ」は国立アートリサーチセンター(NCAR)の活動の中から皆さんに注目していただきたい事例をピックアップして動画コンテンツとともに紹介する特集企画です。

第1回はNCARが運営するリサーチポータル「アートプラットフォームジャパン(Art Platform Japan、略称APJ)」を紹介します。今回はリサーチ・リソースを担う情報資源グループの川口雅子グループリーダーに話を聞きました。

川口雅子

—— まずアートプラットフォームジャパンとはどのような目的で作られたものでしょうか?

川口 「アートプラットフォームジャパン」は、文化庁アートプラットフォーム事業において、2021年に公開されたウェブサイトに端を発しています。2018年に日本の現代アートの持続的発展を目指し、日本のアーティストとその作品の国際評価向上に取組むため文化庁アートプラットフォーム事業が発足し、5年間にわたる活動を終えたのちに独立行政法人国立美術館本部に設置された国立アートリサーチセンター(NCAR)に受け継がれることになりました。

—— アートプラットフォームジャパンを一言でいうと?

川口 日本の近現代アートや日本全国の美術館コレクションに関する情報を広く集め、国内外への提供を行うプラットフォームです。

—— リサーチポータルということですが、ターゲットとするユーザー層は?

川口 国内外の研究者をはじめ、どなたでも日本のアートについて調べたい人々が利用できるポータルサイトです。調査研究の端緒となるウェブ上の拠点であり、日本のアートにまつわる各種情報の編纂と発信を行うことが、NCAR情報資源グループの担う業務です。

—— 一般的にはなかなかハードルが高いイメージがあるのですが?

川口 研究の立脚点となるポータルサイトという位置づけではありますが、専門家にかぎらずどなたであれ、調べごとをしたいというときがありますよね。そんなときの道しるべとして役立てばと思っています。例えば、メディアで目にした作家や美術作品を検索すると、膨大な情報が出てきます。作家の略歴から参考文献まで幅広い情報を網羅していきたいと思っています。

—— 膨大な情報とのことですが具体的にどのような感じでしょうか?

川口 アートプラットフォームジャパンではアーティストが4300以上、収蔵品287000以上を掲載しています。動画でも紹介しますが、例えば、「高橋由一」という作家を検索すると、アーティスト情報と収蔵品情報あわせて56件がヒットします。アーティスト情報をクリックすると作家の略歴、作家解説、主要展覧会、主要収蔵先、書誌、外部情報源、典拠ファイル、関連情報が出てきます。作家が気になる人は略歴や作家解説を読むことできますし、関連情報という項目を見ると、アートプラットフォームジャパンに収録されている情報に限りますが、作家の作品とそれぞれの収蔵先を知ることができます。「高橋由一」作品が全国に所在しているのが一目瞭然だと思います。

—— なるほど、収蔵先を知るだけでも作品との距離がぐっと近くなるような、見ることができる機会も増える気がしますね

川口 あくまで収蔵先なので、その作品を見る機会がリアルに増えるとは言い切れませんが、身近に感じる事はできるかもしれませんし、何より、作品や作家への理解を「深める」きっかけになればと思っています。

—— 外部情報源としてWikipediaがあったり、海外の研究機関へのリンクがあったり、ユニークな拡がりがありますね

川口 そうですね。「高橋由一」の典拠ファイルから、米国のゲティ研究所や、国立国会図書館のサイト等へ飛ぶことができます。なかにはグローヴ・アート・オンライン(Grove Art Online)のような、美術図書館や大学図書館などでの利用に限られるものもありますが、興味がある方は、海外での情報がどんな感じなのか覗いてみると、ちょっとした発見があるかもしれません。
下記の動画にておすすめの検索方法を紹介しています。ぜひご覧いただき、ご活用いただければ幸いです。

アートプラットフォームジャパン(Art Platform Japan、略称APJ)はこちらから

(取材・執筆・撮影・動画制作:NCAR Magazine)

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