ワールドカフェ

概要

ワールドカフェは、カフェのような空間の中で、お互いの思いや知識を共有したり、知覚を触発したりしながら集合知を生み出す話し合いの手法です。少人数のグループで、メンバーを取り替えながら話し合いを続けることによって、あたかも参加者全員で話し合っているかのような効果を得ることができます。1995年に米国のアニータ・ブラウンとデイヴィッド・アイザックスによって編み出され、研修や会議などでの活用が拡がってきました。指導者研修でも、平成22年度以降この話し合いの手法を導入しており、ワールドカフェを地域での研修で実施したり、「みつばち会議」と名づけて授業に取り入れたりする例が増えています。

今回は、受講者に加えて事例紹介者やグループワークのファシリテータ等も含め25テーブルでの展開となりました。午前中の事例紹介で、醍醐寺の田中学芸員から、ご自身が出席された7年前の指導者研修でのワールドカフェがきっかけとなって、紹介事例(地元中学校との連携授業)につながったとのお話があり、みなさんの期待の高まりが感じられました。

テーマは、初日の東良視学官の講演でも取り上げられた「社会とのつながり」に焦点をあてました。また、直前の神野准教授が講演で「多様性と寛容」について話されたこともあり、さまざまな意見やアイディアが繰り広げられたのは、模造紙のメモからわかる通りです。最後の全体セッションでは「対話鑑賞婚活企画」なども飛び出て、楽しく有意義な最終プログラムとなりました。

日時:
7月30日(火)14:00~15:50
会場:
大阪大学中之島センター 10階メモリアルホール
目的:
参加者同士の話し合いを通して、鑑賞教育の目的や課題を再確認するとともに、情報交換や将来の連携のきっかけづくりの場を提供する。
方法:
参加者(委員、事例紹介者、ファシリテータ、ファシリテータ補助者、スタッフ、インターンを含む)は、地域(今回は北海道から沖縄まで)ごとに3〜4人ずつ、25卓のテーブルに着席。テーブルには模造紙が敷かれ、マーカー、飲み物、菓子が用意されている。メンバーは与えられたテーマについてテーブルで話し合い、メンバーを替えながら4ラウンドにわたって話し合いを続け、各々の気づきや思い、意見を共有・交換する。
司会:
一條彰子(東京国立近代美術館 企画課 主任研究員)


  • キーワードが書かれ始める

  • 終了の合図に気づいたら挙手

  • ラウンドが終わると席替え

  • 新メンバーで話合いがつづく

  • 書き込みが増えていく

  • 会場に一体感が生まれる

  • アイデアや気づきの発表

  • 思いを付箋に書き出していく

活動の詳細

ラウンド1
「鑑賞によって育まれる力は、これからの社会を生きる上で、どんな意味を持つのでしょうか」というテーマについて20分間、オープンに話し合います。模造紙には、自由にキーワードなどを書いたり、イラストを描いたりします。
ラウンド2
テーブルごとに1名のテーブルホストが残り、ほかのメンバーは、旅人として別のテーブルに自由に移動します。 テーブルホストは新たな旅人に対し、模造紙に書かれたメモをもとに、ラウンド1で話し合われたことを簡単に説明し、旅人も自分のテーブルで出たアイデアを紹介します。その後、同じテーマ「鑑賞によって育まれる力は、これからの社会を生きる上で、どんな意味を持つのでしょうか」について20分間、話し合います。
ラウンド3
テーブルホストは残り、旅人は再び別のテーブルに移動します。新たなテーマ「(これからの社会を生きる上で意味を持つ鑑賞の力を育むために)私たちは何をすべきでしょうか」について20分間、話し合います。
ラウンド4
旅人は最初のテーブルに戻り、旅先で得たアイデアなどを紹介します。引きつづき、同じテーマについて気づきや発見を統合し、研修で得た知見を、職場で活かす具体的な手立てに結び付けていきます。
全体セッション
ワールドカフェで得た気づきやアイデアについて、数名の参加者が発表し、全員で振り返ります。
沈黙の時間
発表のあと、ワールドカフェの感想や印象に残った言葉、研修後に実行したいと思っていることなどを付箋紙に自由に書き、貼り出して終了します。