国立アートリサーチセンター(NCAR)では、ミュージアムにおけるアクセシビリティを学ぶ、eラーニング「ミュージアム・アクセシビリティ講座 ふかふかTV」を令和6年度に開催し、全7回の講座番組を制作・配信しました。
本記事では、2本の講座番組を一部公開します。アクセシビリティを進めるうえで重要なキーワード「合理的配慮」と「情報保障」に関して、基礎的な知識が身につく講座をより多くの方にご視聴いただき、あらゆる人が文化体験にアクセスできる機会を充実させるための議論が進むきっかけとなることを狙いとしています。文化芸術に関わる方、ミュージアムのアクセシビリティに興味がある方など、どなたでもご覧ください。
※講座番組には、日本語字幕とろう者による手話表現が付いています。ゲストの伊藤 芳浩さんの手話については、吹替音声が入っています。
講座番組の内容
NCAR研究員 鈴木がナビゲーターとなり、第1回と第2回のゲストとして、伊藤 芳浩さんと髙橋 梨佳さんを迎えました。お2人に、ミュージアムにおけるアクセシビリティについて体験したエピソードを具体的に語ってもらいました。
なお、第1回と第2回を視聴する前に、「公平性」「障害の社会モデル」などの基本的な考え方を解説するオリエンテーション動画があります。NCAR客員研究員の伊東 俊祐が登場しました。
オリエンテーション動画は、以下のリンクをクリックしてVimeoのページよりご覧ください。
https://vimeo.com/ncar/fukafukatv0-orien
第1回「ミュージアムにおける合理的配慮とは」
「ミュージアムの事例(ケース)から知る!学ぶ! 合理的配慮のハンドブック」
講座番組の資料として、NCARが発行したハンドブックを手元に用意してください。
PDFデータをダウンロードするか、冊子を希望する方は取り寄せることも可能です。NCARサイトの以下リンクより詳細をご覧ください。
https://ncar.artmuseums.go.jp/reports/d_and_i/accessibility/post2024-941.html
また、ハンドブックの内容を視覚障害に対応するために編集した音声読み上げ用テキストを公開しています。
NCARサイトの以下リンクよりご覧ください。3ページに分かれています。
https://ncar.artmuseums.go.jp/reports/d_and_i/post2025-2469.html 視覚障害者向けバリアフリーテキスト 1/3
https://ncar.artmuseums.go.jp/reports/d_and_i/post2025-2495.html 視覚障害者向けバリアフリーテキスト 2/3
https://ncar.artmuseums.go.jp/reports/d_and_i/post2025-2538.html 視覚障害者向けバリアフリーテキスト 3/3
第2回「ミュージアムにおける情報保障とは」
本講座について
「ミュージアム・アクセシビリティ講座 ふかふかTV」は2024年10月~2025年3月まで文化庁委託事業「令和6年度障害者等による文化芸術活動推進事業」として開催されました。全7回の講座番組が配信され、約1,500名の受講者が学びました。
講座に関する情報は、NCARサイトの以下リンクよりご覧ください。
https://ncar.artmuseums.go.jp/events/d_and_i/accessibility/post2024-1449.html
出演者
ナビゲーター
鈴木 智香子
国立アートリサーチセンター 研究員
2009年武蔵野美術大学絵画科版画専攻卒業、2011年東京造形大学大学院美術研究領域版画コース修了。国内美術館でのインターン研修やボランティア活動をきっかけに、美術館教育の道を歩み始める。神奈川県立近代美術館、東京藝術大学(「Museum Start あいうえの」にプログラムオフィサー)での勤務を経て、2022年度より現職。共著に『こどもと大人のためのミュージアム思考』(左右社、2022年)。
ゲスト
伊藤 芳浩
NPO法人インフォメーションギャップバスター 理事長
生まれつきのろう者であり、第一言語は日本手話。情報アクセシビリティとバリアフリーの推進に尽力。アート分野では、文化庁メディア芸術祭にて視聴覚障害者向けのワークショップのファシリテーターを務め、誰もが平等にアートを楽しめる環境づくりに取り組んでいる。著書に『マイノリティ・マーケティング』(筑摩書房、2023年)。
髙橋 梨佳
NPO法人エイブル・アート・ジャパン「みんなでミュージアム」事務局
知的障害・自閉症の姉がいる経験から、障害のある人の身体性や表現に関心を持つ。生涯学習施設せんだいメディアテークではバリアフリー事業を担当。その後、宮城県仙台市を拠点とし、障害のある人とともに、創作活動、生涯学習、ミュージアムアクセス事業などに取り組む。
手話表現
那須 映里、佐沢 静枝
制作
映像ディレクター
森内 康博 (NCAR 客員研究員/株式会社らくだスタジオ 代表)
主催
文化庁、独立行政法人国立美術館
企画制作
稲庭 彩和子、鈴木 智香子、米満 香菜(NCAR)
AD、運営サポート
関 あゆみ
制作協力
NPO法人エイブル・アート・ジャパン