参加者の声

「平成30年度 美術館を活用した鑑賞教育の充実のための指導者研修」終了後に実施したアンケートで、参加者103名から有効回答が得られました。
選択回答の結果と自由記述からの抜粋を以下にご紹介します。

1.研修全般について

 
  • 夏休みというゆとりのある時期に開催されているのがよかったです。課題意識が同じ方々と幅広く情報交換できたことも大きな収穫でした。受け入れ人数の制約があろうかと思いますが、今後も多くの方に参加してほしい研修だと思います。ありがとうございました。(小学校教諭)
  • 自分たちが実践し活動する時間と講演や事例紹介などじっくりと話を聞く時間とがバランスよくあり、とても充実していました。特にワールドカフェの課題について、すべての研修を経た後だからこそ、話すことができると思いました。グループワークの交流がもう少し時間があればいいと思います。他のグループの方の発表は、別作品での鑑賞なので、作品を鑑賞する時間が増えればいいなと思いました。たくさんの先生方やスタッフの方から学ぶことがあり、美術館の方たちと話す機会もあり、普段は体験できない機会をいただきました。ありがとうございました。(小学校教諭)
  • 様々な都道府県から来られた先生方との意見交流ではとてもいいお話を聞かせていただきました。またファシリテーターの先生方も、とても熱心に指導していただき、相談にも乗っていただいて勉強になりました。ありがとうございました。(中学校教諭)
  • 研修全体が、スタッフの皆さんのはたらきかけで明るく活発に感じました。堅苦しかったり、講義形式であったりという研修を受ける機会が多かったため、このような雰囲気はとても新鮮で、職場にも取り入れたいと思いました。私にとっての美術教育や美術の授業は「将来的に個人が制作や鑑賞を楽しめるように」という視点で行なうものでした。子どもたちが作りたいイメージに沿って、制作のヒントを与えたり技術力向上を目指す内容が多かったです。想いが色や形になっていく過程を、私が子どもたちと共有できるのは、本当に楽しく有意義な時間です。本研修では、美術の鑑賞の授業を通して得られる時間や価値観が、子どもたちが社会に出た時に生かせることについても考えることができました。この学びは私にとってとても大きいです。今までの価値観に加えて、美術や芸術に関わる仕事に就かなくても、「この授業で学んだことが、子どもたちの未来で活かされるといいな」と思いながら授業ができそうです。本当にありがとうございました。(中学校教諭)
  • 2日間あっという間に時間が過ぎていった。それだけ充実していたんだと思う。自分自身、鑑賞の授業に苦手意識があったが、今回の研修に参加して鑑賞の授業の重要性を感じ、様々な手法も学ぶことができ、2学期からさっそく取り組もうと思った。この研修に多くの先生方が参加することができると、私と同じように鑑賞の授業に対する考え方が変わる先生が増えると思うので、さらに続けていただきたいと思う。2日間ありがとうございました。(中学校教諭)
  • 2日間の研修だったが、すべて楽しめる内容となっていてよかった。毎年この研修会に参加したいと思った。事例発表等で、特別支援学校の取組も紹介できるようになれば、さらに充実した研修になると思った。運営する側の準備等大変だったと思うが、有意義な研修を計画してくれて大変嬉しかった。美術教育が重要視されない世の中になってきているように感じ、なんとか変えていきたいと思っていたところ、様々な勉強ができ、今後の美術の可能性を広げることができるのではないかと思う研修会だった。ありがとうございました。(高等学校教諭)
  • 少し時間がタイトでした。研修を反芻する意味でも展示作品の自由鑑賞等の時間がもっとあればありがたかったです。ありがとうございました。(指導主事)
  • 普段は美術教諭の皆さんと鑑賞をはじめ一緒に何かを試して意見交換する機会がないので、とても良い研修だった。先生方との意見交換や交流で得たものは、児童・生徒に合わせた事業企画に生かしていきたいです。今回は貴重な機会をいただき、主催事務局の皆様に感謝申し上げます。(学芸員)
  • 2日間、充実した研修にしていただき、大変ありがとうございました。交流会でも、講師の方々に直接質問したり、自分の考えを聞いていただいたりすることができ、とても貴重な体験をさせていただきました。また県外の学芸員の方々や先生方と交流を深めることもできました。美術館を貸し切っての研修に大満足です。ありがとうございました。(学芸員)
  • 色々な意見を吸収できる貴重な経験でした。ありがとうございました。ギャラリートークやアートカードワークショップに参加し、鑑賞の楽しさを改めて体験したとともに、サポートの方法も勉強になりました。また様々な方とつながりがもてたことも大変ありがたかったです。(学芸員)

2.グループワークについて

  • 始めは、えっ、この部屋の作品だけしか触れられないの?トイレに行くときに他のメンバーが怖そうな絵を見ていたり、彫刻のまわりに集まってお話を聞いている姿を見てうらやましく思いましたが、終わってみて、モネの絵を寝転がってみたり、近くから遠くから、ず⎯⎯⎯⎯⎯⎯と独占して見る機会をもつことができて本当にじっくり味わうことができたので大満足です。他のメンバーともひとつの絵をどう子どもたちに味わわせるかを考える活動をする中で、素晴らしい絵を実際に教材として子どもたちに提示する足掛かりの一歩を学べて良かったです。(小学校教諭)
  • 鑑賞活動について、違う職種の方々から実体験を伺えて、とても有意義な議論ができました。いろんな方の実践を聞いて、自分の鑑賞における研鑽の不足を痛感しました。実際にとことん作品と向き合い、意見を交わして一つの指導計画を作成する過程で「鑑賞ってこんなに楽しかったんだ!」と目から鱗状態でした。自分が楽しいと感じたことを、無計画で子どもに与えるのではなく、鑑賞活動を終えた子どもたちがどんな力を身に着けておける活動にするのかを、見失わずにとりくみたいと思いました。(小学校教諭)
  • 同じ鑑賞作品でも、グループのもつ指導観や、ねらいによって発表がいろいろなかたちで出て面白かった。また、普段気にしながらも流してきた、裸体の取り扱いや、宗教にどこまで触れるかということについても、いろいろな意見を聞くことができて良かった。(中学校教諭)
  • ひとりでは気付くことができないアイディアや考え方を得ることができ、多くの発見があった。話すことで自分の考え方を整理するだけでなく、今までつながらなかったシナプスを繋げることができ、新たな視点で考えたり、発言することもできた。他グループの発表も授業に活かしていけそうなキーワードがたくさんあった。(中学校教諭)
  • 鑑賞しながら、それぞれのテーマに沿って参加された皆さんとともに考えたり意見を出しあう機会が、多忙な現状の中ではとても貴重で新鮮でした。いろいろな意見を聞きながら「なるほど」と納得させられたり、「このような考え方もあるのか」と驚いたり、また「鑑賞教育」について自分の考えを整理する機会にもなり、非常に有意義な時間を過ごすことができました。(中学校教諭)
  • 非常に楽しく、また学びの深いワークとなり、大変充実した研修でした。共に参加したグループメンバーの先生方も意欲や意識が高く、意見を出しあいながら指導案を深められたと感じています。自分にはない視点やアイデアを聞くことができ、大変参考になりました。いろいろな活動のアイデアが出るたび、メンバーで「その活動は作品の本来の面白さを伝えられるものか、作品の何を児童生徒に感じ取ってもらいたいのか」と立ち返りながら深めていけたと思います。これは、ファシリテーターの先生方の作品選びやプログラム、進行の仕方(話し方、問いかけの内容・順序)等のおかげだと思います。今回のグループワークを通して、作品選び・プログラム・進行の仕方等の重要性、またそれが機能した時の楽しさ・学びの深まりを身をもって体験することができました。ありがとうございました。(高等学校教諭)
  • 実際に子どもたちが受ける教育プログラムを体験して、教師のどの発問、どの手立てで鑑賞が深まるのか、仲間との関わりでどう学びが高まっていくのかが、主体的にも客観的にもよく分かりました。(指導主事)
  • 一方的にご指導いただくのではなく、私たち自身が考え、工夫し、よりよいアクティビティを創造しようと取り組んだことがよかったと感じています。私たち自身が主体的に考え、多くの対話を通して深い学びを得られたことに感謝しています。(指導主事)
  • 指導者同士であるからこそ見えてくること、反対に見えていなかったことが、グループワークを通してより明確になったと思いました。話し合いの時間がとても有意義でした。(学芸員)
  • 8つのアクティビティを紹介していただき実際に体験した。そのことで8つ鑑賞の方法を知ったのではなく、それぞれの行為を通して何を見ているのか、何を感じているのかを確認したように思う。例えば、同じ一つの作品を取り囲んで見ていても、着目している視点は個々によって全く違う。描いたりコミュニケーションをとったりする中で、自分と他者との違いを探し、その違いを交換し、自分の中に取り込み構築しなおす。そのことにより見方の幅が広がる。その経験が他の作品を鑑賞する際に活きて働く。そういったことを実感として学びなおすよい機会となった。(学芸員)

3.グループワークの経験を今後どのように生かしたいと考えますか

  • 帰ってきてから早速モネの本を図書館で借りて読んでいます。自然に図書館で探してしまったので、こんな風に、授業の後、自分からもっと学びたいという子ども達を育てていきたいです。教員対象にモネの部屋でやった活動を実際に研修でやってみる予定です。(小学校教諭)
  • 人と違ってもいいんだということを子どもたちにあらゆる場面で伝えたいと思った。(小学校教諭)
  • 意見交流の場や視点を工夫した鑑賞の授業を行ないたいと思いました。また、ファシリテーターの重要性を改めて感じたので、地元の美術館の学芸員の方と連絡を取って研修会を開きたいと思います。グループの発表会で得た様々な支援を実践してみたいと思いました。(小学校教諭)
  • 作品を使った交流や対話型鑑賞を体験することで、子どもたちがどんな気持ちで作品に向き合うか、どんな言葉がけをすれば伝えたいことが伝わるのかなど、いつもと違った視点で鑑賞活動を考えることができました。特に子どもたちの実態を想定したワークでは、美術嫌いの子、苦手な子に対してどんなアプローチができるか考えることができました。すぐにでも実践したいです。(中学校教諭)
  • 鑑賞作品の選び方、児童生徒への働きかけに生かしたい。これまで、鑑賞の授業を行なう際に、鑑賞作品とその作者や作品についての情報をどのように絡めればよいか迷っていた。今回、作者や作品についての情報は、タイミングや出し方によって学びをぐっと深め、主題に迫るヒントになるものでもあると知ることができ、ぜひ今後の授業づくりに生かしたいと思っている。また、評価の手法と規準の考え方についても多くお話を聞けたので、より広い視点から生徒を見取り、これまでよりも焦点を絞った評価ができるようになると思う。(中学校教諭)
  • グループワークと情報交換の場で一緒に活動をした先生や学芸員の方々とつながることができました。このつながりをこれからの学びに生かしていきたいです。また実際の活動一つひとつに、鑑賞教育充実のためのポイントがありました。安心して発言する場を作ること、楽しむこと、作品を生かして鑑賞を深めること、何を学ばせるかをしっかりと意識して、また、生徒の実態をしっかりと把握して、教材を考えることなど、2学期の鑑賞の授業を考える上で重要なポイントを学ぶことができました。2学期からの鑑賞の授業で実践に組み込んでいきたい。(中学校教諭)
  • 指導案やグループワークの発表を聞いて、多様な鑑賞の仕方があることにとても興味をもつことができたので今後鑑賞授業を実践したいと思います。(高等学校教諭)
  • 当然のことかもしれませんが、「偏見なく物事を伝える」教育に対する誠実さは、時間的にも労力的にも実は大変なことなのだと知りました。下調べ、準備、構想、企画、いつも手が回らないことを言い訳に不誠実な授業をしていた自身を反省します。また、グループワークでは鑑賞という目的のみでなく、それぞれの緊張をほぐしながら関係を作っていく行程も、鑑賞教育の重要な要点なのだと勉強させていただきました。校内の生徒作品展覧会では生徒のみならず、保護者対象のグループワークも行なってみたいです。(高等学校教諭)
  • 鑑賞の切り口を一層多面化していきたい。授業者が授業のねらいを持つことは前提ではあるが、生徒の意見の受容性を高めた授業準備、想定外の展開に対応できる寛容性をもった準備をしていきたい。(高等学校教諭)
  • 今までは例えば、細かい解説等をいかに子どもたちに伝えればいいか悩んでいたが、これからはもっと大きく美術鑑賞の楽しさを伝えることも大切にしながら、鑑賞プログラムの充実を図りたい。(学芸員)

 

4.アートカードワークショップについて

  • 昼食時で時間が限られていたのが少し残念です。ゲームの方法を詳しく教えていただき、年齢に関係なく楽しめることが体感できました。(小学校教諭)
  • アートカードを実際に使ってみると、楽しく美術の世界に入っていけるだけでなく、ゲームをするにあたり言葉も引き出していけると思いました。苦手意識をもっている児童生徒も自ら入ってきやすく、特に今勤務する小学校なら鑑賞に対するハードルを引き下げる機会となると思いました。(小学校教諭)
  • 容易に美術作品と関わる機会になること、アイスブレイク的な要素が大きいことが利点に感じました。(中学校教諭)
  • 授業の導入のアイスブレイクで使いたいと考えた。特に「にたものつながりゲーム」はカードを出す生徒だけでなく、出されたカードのつながりを皆で判断するという行為が含まれているため、相互に鑑賞することができ、新しい作品の見方につながると感じた。(中学校教諭)
  • カードの使い方がいろいろ工夫されていて良い。ゲーム形式で楽しめること、誰でも参加できること、内容が、ちょっとしたことを認め合えることなど。(中学校教諭)
  • 「名探偵ゲーム」「カレンダーをつくろう」「にたものつながりゲーム」と、すべてのゲームを体験することができました。「にたものつながりゲーム」は結構時間がかかりました。時間がないときは、配るカードを減らした方がいいかもしれません。生徒に体験させたいと思ったのは、「カレンダーをつくろう」です。他の2つのゲームに比べてゲーム性は低いのですが、その分、落ち着いて考えることができ、互いの発想力を味わうことができます。授業に取り入れたいと感じました。(高等学校教諭)
  • 自分がやってみて楽しさもやり方もはじめて理解できた。自然と作品と親しみながら観る視点がたくさんあることをゲームしながら学べたので良かった。ぜひ子どもたちにも体験させたいと思った。(指導主事)
  • プログラムそのものは、以前別の所で体験したことがあり、また館の資料を使って活動に取り入れたこともあったが、改めて、何が発見できるか、どこに面白さがあるか、参加者の視点から考えることができてよかった。なお個人的には名探偵ゲームが一番盛り上がった。(学芸員)
  • 見知らぬ同士があっという間に打ち解けることができましたし、作品がもつ特徴や類似点などに興味をもつことができて、美術館と学校を結ぶ入り口として効果的だと感じました。(学芸員)
  • アートカードを実際やってみることで、使い方がわかりました。参加者で実践されている方の意見も参考になりました。(学芸員)

5.事例紹介について

  • 鑑賞が表現にかなり影響を与えているということがよく分かった事例紹介だった。美術館を効果的に活用した鑑賞活動の方法や、地域との連携など、たくさんの方法を知ることができたので、自校でできることから取り組んでいきたい。(小学校教諭)
  • 小・中・高とそれぞれの事例を聞けたので、発達段階に応じた指導の成果と課題等が見えてきました。(小学校教諭)
  • 特に上原先生の事例紹介の中で「鑑賞は表現の補助にとどまっている」という言葉が印象的であり、今自分自身が抱えている課題とリンクした。効果的な鑑賞の授業がなされれば、表現活動が豊かになっていくということがわかったので、是非実践していきたい。(中学校教諭)
  • 自分自身が勤める場所とは学校や地域の規模、位置的な差が大きいため、直接取り入れることはできないが、他教科との連携、地域の人材や環境の活用により、美術の分野から児童生徒の育成により大きく貢献できるという話にはとても希望が持てた。今の自分がこの場所でどんなことができるかについて色々とアイディアが浮かんできた。(中学校教諭)
  • もっともっと聞かせていただきたいと思う内容ばかりでした。美術館や行政と協同で推し進めていく実践は、各学校が置かれている実態によっては不可能と思える部分がありながらも、ヒントは沢山いただけたと思います。事例を聞きながら、「自校でできることは何だろう」と真剣に考えることができました。また、常に新鮮な感動を持って(授業者である私自身が)授業に臨みたいと改めて感じました。(中学校教諭)
  • 皆さんの果敢な取り組みに頭が下がります。発表には出てこない準備や構想の時間、失敗や試行錯誤の試みを想像するにつけ、教育への情熱の大きさに圧倒されました。伊藤先生のご発表では、学芸員さんとの美術館での取り組みは言うまでもなく、目に見えぬ移動経路の安全確保や、観覧料、保護者への理解推進など長期に渡って続けられ、築かれた美術に対する信頼は生涯学習へつながるものだと感じました。永松先生のご発表では、すでに学校で教える美術が美術教育という枠を超えて、人生の豊かさに気付かせる、人としてなくてはならない教養にまで至っているのを感じました。先生の授業を受けられる生徒、また展覧会を見られる保護者、ひいては地域の方々まで美術を通じて豊かさの波紋が広がっていることに感動しました。上原先生のご発表では、誠実なお人柄が階段を一つずつ登るように課題を解決して行く様子が、特別なものではなく、今ある現状から私たちができることを指し示してくださっているように感じました。同じ京都の教員として、また美術を通じた長い付き合いの同朋として、誇らしく嬉しく思いました。お三方の先生方、ご発表ありがとうございました。(高等学校教諭)
  
  • 精力的に授業実践に取り組まれている先生方がいらっしゃるというだけで非常に刺激になった。特に高校での事例紹介は、私もこうして少しずつ取り組んでいけばいいんだと大変参考になった。(高等学校教諭)
  • 学校全体が美術の鑑賞教育に高い関心があると可能性が広がると改めて感じた。中学校の事例では、クロスカリキュラムづくりの詳細や細かい手立てが資料からも見て取れた。また高校の事例では、表現と鑑賞は切り離せないことが実証された。とても共感できる内容であり、一教員として実践が可能な内容にも感じてもっとも勉強になった。(指導主事)
  • 美術教育で培いたい力は、他教科にも通じています。大分の教頭先生の実践にもあったように、教科融合型学習は、小学校でも中学校でもとても現実的に実行可能で、有効だと思いました。(指導主事)
  • 「子どもがファシリテーターを務める」という事例が小中学校であったことが印象に残りました。とても緊張する場面だと思いますが、コミュニケーションの取り方、言葉遣い、など多くの学びが彼ら・彼女らにあったと思います。ただ、このためには継続的な取り組みが必要なこと、学校ごとに温度差があること、様々な壁が待ち受けているなぁと思いました。(学芸員)

6.ワールドカフェについて

  • 2日間のまとめとして、そこまでに聞いた話が一気にテーブルに集まり、爽快感に包まれました。直前の神野氏の講演で脳に一気に言葉が入り、久しぶりに脳がお腹一杯という感覚で、話したくて仕方がないところであったので良かったです。旅人となってほかのテーブルの話を聞きに行きたかったのですが、(じゃんけんで負けてしまったので)島に残っていたのですが、最初の意見にどんどん重なり、模造紙が埋め尽くされるようにまとまっていくのを見ていたのも楽しかったです。他の島に行き戻ってきた旅人の話を聞くと、同じ題でもまるで違う話となっていたようでそれも含め最後に集約されて面白かったです。(小学校教諭)
  • たくさんの先生方・学芸員の方々と鑑賞教育について交流するなかで、今までにない視点を得ることができました。同時に、みんな同じ思いで熱く鑑賞教育に向かっていることがわかり、自分も負けないように頑張りたい、と決意を新たにすることもできました。美術館部、美術で世界平和など、印象的なキーワードもありました。ここで得た視点を、今後の実践に生かしていきたいと思います。(中学校教諭)
  • たくさんの意見の渦の中で、時々はっとさせられる言葉に出会うことができました。また、他者とは価値観は違うのだとはっきり自覚できた時間でもありました。特に美術の教育について、これだけたくさんの人と意見を交える機会はほとんどありませんので、ずっと高揚した状態で時間があっという間に過ぎていったように感じます。最後のまとめがもう少し聞きたかったと思いました。(中学校教諭)
  • 話をする相手が入れ替わることで、話題が発展的になり、目から鱗が落ちたような発見がありました。この方法で鑑賞を行なうこともできるのではと思いました。(中学校教諭)
  • コミュニケーションを深めるための手だてとして、ワールドカフェというスタイルはとても有効だと実感しました。初めて体験しましたが、ラウンドの時間配分もちょうどよく、全国の多くの先生方の生の声を聞き意見を交わすことができ、会話をしながら自分の中でも考えを深めていくことができました。学級経営や授業展開にも活用していきたいと思いました。(中学校教諭)
  • 様々な方々とテーマに基づいて話すことができた。美術館学芸員の立場や教育関係・学校の先生などといった方々と積極的に話をする場となってよかった。私は学校の研修主任をしているので、ここで勉強したワールドカフェの方式を取り入れてみようと思っている。(高等学校教諭)
  
  • 同じ課題を討議しながら、テーブルによって具体的な方法論を語るところ、観念的な理想を熱く語るところなど、それぞれ違いがあることが面白かったです。(学芸員)
  • たくさんの方と意見交換でき、深めることもできる最適な人数、時間設定が可能な仕組みだと思う。「旅」に出て元の場所に帰ったときに、加筆された言葉や矢印によって学びが深まり、共感されたと感じることができた。ワールドカフェは何度か経験していたが、今回が一番自分の中でしっくりくる時間だった。(学芸員)
  • カフェスペースを使い、メンバーを変えながら、4人の小グループで会話を続けるという経験は初めてでした。近隣の地域の教諭や学芸員の方、全国の教諭、指導主事、学芸員の方と、それぞれの現場で思うことや意見をシェアできたことは、実際にプログラムを考えていく上で得がたい経験となりました。(学芸員)
  • 美術や学校などの様々な立場からの発言を聞くこと、そして自分の意見を話すことによって、多くの共感と新たな視点をいただいたと思います。多様性や寛容というキーワードが多くのテーブルで導き出されていたことは、特に印象に残っています。全国の指導者の方と話し合う体験は貴重で有意義でした。(学芸員)

7.講演について

  • 東良先生の講演の中で、美術・鑑賞教育についての生徒質問紙等統計から、教える側は力を入れてやっているつもりでも、生徒側は実生活に役立つものになっていないなど、問題点が出されていました。鑑賞教育を通して身につく力が、子供にも実感できるような取り組みが大切だと感じました。(小学校教諭)
  • 鑑賞教育を単なる「見る」「感じる」だけに留まらせず、多様な見方や多様性の理解にもつながることを実感した。そう考えると、図工美術の存在意義は本当に大きいなと再認識した。図工指導に長年携わっている者として、自分の職務への誇りにつながった。(小学校教諭)
  • ものの見方の違い、違っていてそれが普通である。というフレーズに感動しました。その違いに気づかせるには他教科よりも「美術」、特に鑑賞が有効であると、とても分かりやすかったです。そのあとの「ワールドカフェ」で「世界平和」につながった発言があったのは、あながち大げさではないと思います。(小学校教諭)
  • 学習指導要領とこれからの社会について、子どもたちがどういう力をもつ必要があるかを2つの講演を通して考えることができました。特に、鑑賞教育が社会の課題に向き合う力につながるということは、心にすとんと落ちました。美術は社会に還元されるというのはその通りだと感じました。(小学校教諭)
  • 美術教育や「美術」について、じっくり考える良い機会になりました。 美術の授業を通して得られる価値観は、子どもたちが社会に出た時に活用できる要素がとても多いことに気付きました。(中学校教諭)
  • おふたりの講演では、これからの多様化する未来を生きていく子どもたちに、美術を通してどのような力を育むべきかを学びました。特に、対話型鑑賞は「見える学力」とともに「見えない学力」を育むためにも必須であると思っています。私たち美術教員はもっと自信をもつと共に、もっと積極的に存在意義を発信すべきであると思います。(中学校教諭)
  
  • まさに、もやもやしたもの、ぼんやりしていたことなどが可視化された。もっと自分なりに整理して確信を持てるようにしたい。(高等学校教諭)
  • 鑑賞に限らず、他の教科とのつながりを感じ、特別美術に特化した問題ではないことを講演の中で気付かされた。学校や地域理解につながるヒントを得た。(高等学校教諭)
  • 研修の背骨のように、おふたりの先生の話が貫かれていると感じました。私はもともと国語主任で図工には明るくないのですが、私自身が美術館に赴任したのも、意味があるのだと強く思えました。社会の課題の解決へのヒントや策は、図工美術にある。教師こそ、アートの柔らかくしなやかな感覚に触れて、自分を更新・成長させていくといいと感じました。今いる場で、目の前の子ども・教師に大切に向き合って、寛容で多様性のある場を作っていこうと思います。ありがとうございました。(指導主事)
  • 学習指導要領が改訂したことについて、資料等では内容を確認していましたが改訂の根幹にあるところには理解が及んでいませんでしたので、とても勉強になりました。社会における美術の役割について、弊館には何ができるのか今一度考えていきたいです。(学芸員)

8.この研修の経験を、現場でどう生かしたいですか?

  • 図工に関する鑑賞教育についてはもちろんのこと、物の見方や感じ方が「他者理解」や「自己肯定感の高まり」にもつながるということを道徳の授業とのつながりの中で職員に広げていきたい。本校は道徳の研究校であるので、今回の学びを生かした研究の推進にも尽力したい。また、学校を超えて各市町でもしっかりと伝達していきたい。(小学校教諭)
  • 話し合いの方法やワールドカフェのあり方はすぐにでも校内・市内で使えると思いました。今後すぐにでも考えたいと思ったのは、美術科だけで考えるのではなく、学校全体の中で美術をどのように位置づけていくのかだと感じました。他教科との兼ね合いも考え、どのような児童生徒の姿を思い描いていくのか。その中で美術科はどのような活用をして児童生徒のポテンシャルを引き上げていくのか。それをひとりでなく、まわりを巻き込んで活用していくことをやっていきたいと感じました。まずは自分の勤務校から。次に市内の先生に伝えていきたいです。(小学校教諭)
  • 深い学びにしていくために、図工という教科の本質とは何かを軸に、子どもの姿、何を考えさせるのかがぶれない授業づくりをしていきたい。学校の児童の実態に語彙力が足りないことが挙げられているので、ギャラリートークの経験を段階を踏んで行ないたいと思った。表現したいことを見つけることに課題がある児童に対して、鑑賞がとても有効な手立てとなると感じたので、積極的に取り入れていきたい。(小学校教諭)
  • まずは、美術を通して育むことのできる力や教科の意義を、自分の姿や言葉で子どもたちに再度伝えていきたいと思いました。自分が担っているこの仕事がいかに子どもたちの内面を育て、可能性を広げるか、改めて感じることができました。また、実践を通しながら、同僚の先生や保護者など、大人の価値観を変えていきたいと思います。上手・下手にとらわれず、自分の個性を伸ばし、仲間や初めて出会うものに対して寛容な心を持ち、豊かに発想を広げる力を伸ばすことのできるこの教科の良さを、子どもたちを通して感じてもらえるような実践を積み重ねていきたいと思いました。(中学校教諭)
  • 鑑賞については、自分の授業の中では、これまでは参考作品として鑑賞する(させる)という意味合いが強かったと反省させられました。本研修では、鑑賞の奥深さと、指導者の力量次第では、非常に深めていくことができることも学びました。具体的な方法や実践上で気をつけるべき点も学べたので、早速生かしていきたいと思っております。また、私自身は視覚障害の特別支援学校で教鞭をとっておりますが、京都の国立美術館とは連携を取って、視覚障害者用の鑑賞教材を開発・作成していければと願っております。その時も、今回の研修の経験を生かして、単に作品がどのようなものであるかという絵画理解のようなものにとどまらず、美術文化や美術の文化まで感じられる実践につながる教材開発ができればと考えております。(中学校教諭)
  • 先入観を持たせず、まず素直に作品観賞をすることの良さを知った。情報を与えすぎるとかえって自分が欲しい意見に誘導する可能性があると感じたため。また、美術館と連携して実物の作品を感じる授業展開をしてみたいと感じた。(高等学校教諭)
  • 生徒作品の相互鑑賞や、制作導入時に鑑賞を取り入れやすいと感じた。できるだけ生徒主体の鑑賞となるよう準備し、実践してみたい。(高等学校教諭)
  • まずは、学んだことを知らせます。その上で、具体的な提案をしたいと思います。そしてそれを継続、検証していくことをしていきたいと思います。実践報告からも分かるように、一時的な取組で終わらず、継続して検証していくことが、より確かで、成果につながるものだと改めて教えて頂きました。(指導主事)
  • 子供たちが作品鑑賞を通して新しい気づきを得たり、他者との違い、また同じ部分があることを感じることが、将来的に人間性の構築につながり、社会的には新しい創造につながるという流れについて考えることができた。今後はその流れを考慮したうえで団体鑑賞を行ないたいと思う。具体的には鑑賞の時間配分を見直し、鑑賞を徐々に深めたり、他者の意見を聞き、考える時間をじっくりとるなど、その鑑賞行為から子供達が何を得ることができるか、目標設定も含め意識したい。(学芸員)
  • まず、職場に本研修で学んだことを伝え、周知することが大事だと思います。美術館もこれからは教育の時代という認識は、上司も各種研修に参加しながら理解があるため、今後は提案や実践を通して、美術鑑賞の楽しみをお客様に伝えていければと思います。また、参加された美術教員の方々から教育に対する熱い想いも受け取りましたので、地域との連携を意識し、学校と協力した内容で展開できればと考えています。(学芸員)

 ※ アンケート結果を表した円グラフでは、小数点以下を四捨五入したため、合計が100%にならない場合があります。