2024.07.05

「アーティストの国際発信支援プログラム」プレ事業採択国際展「第14回上海ビエンナーレ」

「アーティストの国際発信支援プログラム」プレ事業採択国際展「第14回上海ビエンナーレ」

Installation view of " Cosmos Cinema: The 14th Shanghai Biennale " © Power Station of Art

概要

国立アートリサーチセンター(NCAR)は、「アーティストの国際発信支援プログラム」プレ事業として、2023年11月9日から2024年3月31日まで開催された第14回上海ビエンナーレを採択し、4名の日本のアーティスト(河口龍夫、笹岡由梨子、Ken Niibori( Nibo)、牧野貴)の出展を支援しました。

Installation view of " Cosmos Cinema: The 14th Shanghai Biennale " © Power Station of Art

上海ビエンナーレ

1996年に始まった上海ビエンナーレは、アジアで最も影響力のあるアートイベントのひとつに数えられています。アントン・ヴィドクルをアーティスティック・ディレクターに迎え、「コスモス・シネマ」をテーマとした第14回上海ビエンナーレは、世界6大陸の41の国と地域から、計79組のアーティスト/グループの作品が展示され、会期中に17万人以上の来場者が訪れました。

会場では「パレス」と呼ばれる9つのコンセプチュアルな章立て(「惑星間旅行の自由」「万物」「未来主義」など)がなされ、来場者はまるで宇宙空間か、巨大な映画館であるかのように仕立てられたほの暗い会場を回遊して作品を鑑賞します。「コスモス・シネマ」の核となる、19世紀後半から20世紀にかけてロシアで見られた思想的潮流「ロシア宇宙主義」には、「科学の発展による不老不死、死者の復活、惑星間の自由な往来」といった概念が含まれますが、ヴィドクルと彼のキュラトリアルチームは「映画」というレンズを通してそのユートピア的思想を紐解き、古代の宇宙論、現代社会が抱える課題、そして地球外に及ぶ未来に焦点を当てた展覧会を組み立てました。

Installation view of " Cosmos Cinema: The 14th Shanghai Biennale " © Power Station of Art

国際展支援への取り組み

開催に先立ち、NCARは2023年7月に「国際展ディレクター・キュレーター等招聘事業」の一環としてビエンナーレのキュラトリアルチームよりハリー・エアーズ氏を日本に招聘し、アーティストのスタジオ訪問や様々なミーティングの機会を用意しました。このリサーチの結果として上記4名の日本のアーティストの出展が決定し、また、ビエンナーレ開幕後には、アーティストのインタビュー動画を制作する事業において河口龍夫氏、笹岡由梨子氏を取り上げ、ビエンナーレの出展に関して語っていただくなど、上海ビエンナーレは今後、NCARの様々な事業を組み合わせながら複層的にアーティスト活動の支援と発信を行っていくための先駆的な一例となりました。

(アーティストのインタビュー動画「【Artist Talk #1】 河口龍夫」 「【Artist Talk #3】 笹岡由梨子」および国際展ディレクター・キュレーター等招聘事業 「ハリー・エアーズ氏(第14回上海ビエンナーレ・キュレーター)によるリサーチ滞在とその成果」もご覧ください。)

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