ごあいさつ

独立行政法人国立美術館が主催する「美術館を活用した鑑賞教育の充実のための指導者研修」は、今年で8年目となりました。昨年に引き続き、研修の記録をウェブサイトで公開いたします。

平成25年度の研修は、7月29日と30日の2日間にわたり、東京国立近代美術館と国立新美術館を会場に開催され、小・中学校の教員、指導主事、美術館学芸員あわせて99名が参加しました。

この指導者研修のユニークな点は、学校や地域間のみならず、職種も超えているところです。立場の違う三者が集うことにより、他の研修会では得られない意見交換や、研修後のネットワーク形成が可能になっています。またプログラムには、課題作品の前で約4時間も話し合う「グループワーク」や、メンバーを入れ替えながら会話を続ける「ワールドカフェ」が取り入れられ、受講者が主体的に関わることができます。このようなプログラムでは、いくつものグループが同時進行するため、他のグループで何が話し合われたのか詳細にはわかりません。ぜひこのウェブサイトで全体像を俯瞰していただきたいと思います。

ここには、第一線で活躍されている先生方の貴重な講演内容も、すべて掲載されています。この記録が、過去の受講者をはじめ、美術館を活用した鑑賞教育に関心のあるすべての方に役立つことを願っています。そして、受講者のみなさんが、この二日間の研修の成果を、ご自分の職場や地域に指導者として還元してくださることを期待します。

平成25年10月

独立行政法人国立美術館理事長
馬渕 明子