編集後記

この研修は5つの国立美術館が協力して開催するので、会場も毎年、各館の予定をにらみつつ調整しています。今年は初日の会場が、国立西洋美術館から東京国立近代美術館に2年ぶりに戻ってきました。美術館が変わると、当然のことながらコレクション(所蔵作品)が変わり、グループワークの課題作品も変わります。西美では受講者もファシリテーターも、キリスト教やギリシャ神話など西洋美術特有のテーマに四苦八苦しました。西美にはない東近美のコレクション、たとえば日本画や現代美術作品に、今年みなさんがどう取り組んだのか、比べてみていただくのも、このサイトのおもしろい見方かもしれません。この研修が、受講者のみなさんの「コレクションの良さを引き出す」ヒントとなりますように。(一條)

研修プログラムのひとつであるワールドカフェは、これまで参加者として皆さんとの会話や情報交換を楽しんでおりましたが、今年、初めて司会という立場でカフェを体験しました。28のテーブルそれぞれの雰囲気の違いや、一つのラウンドが終了してテーブルの仲間と別れるときの皆さんの満足気な、でも名残惜しいような表情、最初のテーブルに戻ってきたときの嬉しそうな表情など、まさに短い時間に多くの出会いを体験している皆さんの旅のドラマを拝見しているようでした。こうした多くの仲間との出会いが、日頃の活動の中で疲れや、疑問などを解消する手助けの一つになってくれたら、この研修の意義もあると考えています。研修から一つの答えを得るのではなく、幾つもの可能性を吟味し、より良い活動を考え続ける契機としていただけたら幸いです。(寺島)

最近では美術館における鑑賞プログラムがさかんで、特に夏期などは利用者が迷うくらいの多彩な内容が提供されています。また学校教育の現場でも鑑賞は重要な学習テーマの1つとして、さまざまな試みが行われるようになりました。鑑賞教育はもはや当たり前のこととなりつつあります。ただ、もしかしたらそれは「関係者にとっては」という限定つきかもしれず、未だによく耳にするのは「海外ではこどもたちが云々」の声。鑑賞教育がもっと日常的に、そしてその日常がワクワク・トキメクものとなるために、私たち関係者にできることはまだまだありそうです。今のこどもたちが大人となる近い将来、そしてもっと未来のこどもたちのために、鑑賞教育に挑戦し続けましょう。本研修がその刺激となったら幸いです。(今井)

平成25年度の指導者研修、ギャラリートーク分析(小学校)の対象は小学校1年生40名。東京国立近代美術館ギャラリーでの撮影は、例年より低学年、そして大人数ということで、どんな風にみんなが動くのかまったく予測不可能な上、打合せ無しのぶっつけ本番の撮影です。トークのじゃまにならないように、ビデオで撮られるのが苦手な子がいないかなとヒヤヒヤしながらの撮影でした。でも、みんなカメラを気にすることもなく(気にしないように知らんぷりしていてくれた?)、無事に撮影を終えることができました。ギャラリートーク分析の撮影は分析のためにあらかじめ狙いを定めて撮影するのではありません。特定の生徒に偏ることなく、ギャラリートーク全体の流れを見据えながら撮影しました。後日、奥村先生、本間先生をはじめ複数の眼でビデオを何回も何回も繰り返し見ながら、ポイントとなるシーンを絞り込んでいき、元々は1時間ほどのビデオが最終的に9分弱となりました。このようにして作られた映像が研修当日にご覧いただいたものです。(室屋)

昨年に引き続き、こちらのウェブ報告書の編集を担当しました。指導者研修に実際参加した方への記録として、そしてこれから参加する方への参考となるように、年を追うごとにより良い報告書を作り上げるのが私の仕事です。今年は、昨年よりもグループワークの臨場感を伝えるように、そして来年参加される方に参考になるようなアンケート回答を抜粋するように努めました。一つ一つ丁寧にプログラムされたグループワークの内容はじっくり読んでいただきたいですし、自分と同じ職種の方のアンケートの回答を是非お読みいいただきたいです。(井上)

研修スタッフ・関係者リスト

講演
東良 雅人 国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官
(併)文部科学省初等中等教育局 教育課程課 教科調査官
上野 行一 帝京科学大学こども学科 教授
ギャラリートーク分析
奥村 高明 聖徳大学児童学部児童学科 教授
本間 美里 東京都港区立御成門小学校 教諭
ファシリテーター
田中  晃 川越市立美術館 主査
小池 研二 国立大学法人横浜国立大学 教育人間科学部 准教授
齊藤 佳代 東京国立近代美術館 工芸課 研究補佐員
西村 德行 国立大学法人筑波大学附属小学校 教諭
弘中 智子 板橋区立美術館 学芸員
濱脇みどり 西東京市立田無第一中学校 教諭
小野 範子
茅ヶ崎市立小和田小学校 教頭
松永 かおり 東京都教育庁指導部指導企画課 指導主事
山田 一文 埼玉県立総合教育センター 指導主事
南  育子 墨田区立業平小学校 教諭
朴  鈴子 京都国立近代美術館 学芸課 研究補佐員
サブファシリテーター
遠藤 詠子
箱根写真美術館 副館長
平谷美華子 東京富士美術館 学芸部 学芸課 学芸員
本間 美里 東京都港区立御成門小学校 教諭
関  聖美 国立国際美術館 学芸課 研究員
田村 麗恵 東京都美術館 学芸員
八巻 香澄 東京都庭園美術館 学芸員
亀井  愛 三井記念美術館 教育普及員
吉澤 菜摘 国立新美術館 学芸課 アソシエイトフェロー
横山 佐紀 国立西洋美術館 学芸課 主任研究員

運営スタッフ
一條 彰子 独立行政法人国立美術館 東京国立近代美術館 企画課教育普及室長 主任研究員
小谷松 誠司 独立行政法人国立美術館 本部事務局 室長(普及・研修担当)
三村 研太朗 独立行政法人国立美術館 本部事務局 係員(普及・研修担当)
岡村 愛 独立行政法人国立美術館 本部事務局 係員(普及・研修担当)
藤田 汐路 独立行政法人国立美術館 本部事務局 事務補佐員(普及・研修担当)
出村 朋 独立行政法人国立美術館 本部事務局 事務補佐員(普及・研修担当)
細谷 美宇 東京国立近代美術館 企画課 研究補佐員
今井 陽子 東京国立近代美術館 工芸課 主任研究員
齊藤 佳代 東京国立近代美術館 工芸課 研究補佐員
中川 健太郎 国立新美術館 庶務課 係長
羽田野 愛 国立新美術館 庶務課 係員
西野 華子 国立新美術館 学芸課 主任研究員
木内 祐子 国立新美術館 学芸課 研究補佐員
吉澤 菜摘 国立新美術館 学芸課 アソシエイトフェロー
寺島 洋子 国立西洋美術館 学芸課 主任研究員
横山 佐紀 国立西洋美術館 学芸課 主任研究員
杉浦 央子 国立西洋美術館 学芸課 研究補佐員
関 聖美 国立国際美術館 学芸課 研究員
朴 鈴子 京都国立近代美術館 学芸課 研究補佐員
長谷川 佑季 東京国立近代美術館 企画課 インターン
加藤 紗織 東京国立近代美術館 企画課 インターン
菖蒲澤 侑 東京国立近代美術館 企画課 インターン
玉井 あや 東京国立近代美術館 工芸課 インターン
大川 藍 東京国立近代美術館 工芸課 インターン
野見山 桜 東京国立近代美術館 工芸課 インターン
樋口 茉呂奈 国立新美術館 学芸課 インターン
立花 由美子 国立新美術館 学芸課 インターン 
武田 友希 国立西洋美術館 学芸課 インターン
横田 かさね 国立西洋美術館 学芸課 インターン
石田  さくや 国立西洋美術館 学芸課 インターン
鹿島 萌子 国立国際美術館 学芸課 インターン
川上 恵理 国立国際美術館 学芸課 インターン
技術スタッフ
室屋 泰三
国立新美術館 学芸課 主任研究員
布施 環 東京国立近代美術館 情報研究補佐員
数原 潔 国立新美術館 情報研究補佐員
記録編集
井上絵美子 国立新美術館 学芸課 研究補佐員

国立美術館の教育普及事業等に関する委員会 委員
奥村 高明 聖徳大学 児童学部児童学科 教授 
小野 範子 茅ヶ崎市立小和田小学校 教頭
長田 謙一 名古屋芸術大学美術学部・同大学院 教授
西村 德行 国立大学法人筑波大学教育学部附属小学校 教諭
濱脇みどり 西東京市立田無第一中学校 教諭
東良 雅人 文部科学省初等中等教育局 教育課程課 教科調査官
(併)国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官
松永かおり 東京都教育庁指導部指導企画課 指導主事
三澤 一実 武蔵野美術大学教職課程研究室 教授
南  育子 墨田区立業平小学校 教諭
山田 一文 埼玉県立総合教育センター 指導主事

編集
月岡 大輔 月岡編集企画室
撮影
玉田 安夫 スタジオダイス
藤川 素子 スタジオダイス
イラスト
宇田川一美  
ウェブ
渡部 護弥 イークリエイト ディレクター
藍原麻衣子 イークリエイト