ごあいさつ

研修会の開会にあたり、主催者を代表して一言ごあいさつを申し上げます。本研修会は皆様のおかげをもちまして、今年で第10回目を迎えることができました。その記念として、昨日、当会場において、10周年記念シンポジウムを開催し、期日より大分以前に定員に達し、当研修の中からも、約40名が参加したと聞いております。

そして本日から2日間かけて、全国各地の小・中学校、美術館、教育委員会から100名の方々をお迎えし、指導者研修会を開催できることを大変喜ばしく思っております。

美術を鑑賞することの重要性や教育的意義については、改めて申し上げる必要はないと思いますが、昨今、受験科目ばかりに注力したり、文科省が大学における文系学部の改革を通知するなどの不思議な発想が出てまいりました。そういう意味で美術館の鑑賞教育は冷たい視線にさらされているとは思いますが、それに拮抗する形で多くの方々が美術館の活動に携わったいただき、ある意味、草の根でひろがっていると思います。

これからも皆様の力をお借りして、ますます美術館における鑑賞教育の普及に努めていきたいと思います。そのためには率直な批判も受けなければならないと思いますし、新しいアイディア、言論におけるさまざまな苦労などを国立美術館にお伝えいただき、それをまとめて皆さまと考え、将来を見据えた研修会にしたいと思っております。いろんな発想やご経験を率直にお伝えいただき、新しい力がここから生まれてくることを強く希望します。

そしてこの研修を通じて美術鑑賞が積極的に展開できるよう皆さんで話し合い、それぞれの地域において美術館を活用した鑑賞教育の実践のための手がかりとなることを願ってやみません。

最後に、この研修会の開催に当たりご協力いただいた、講師や指導の諸先生方、ファシリテータ―役の皆さんなど、多くの関係者に、この場をお借りして、お礼申し上げます。

本研修会が、実り豊かなものとなりますようご協力をお願いして、私の挨拶といたします。ありがとうございました。

平成27年10月

独立行政法人国立美術館理事長
馬渕 明子