グループワーク
- 日程:
- 8月3日(月)
グループワーク:
午前(10:50~12:30)、午後(13:30~16:00)
グループワークの成果発表:
午後(16:15~17:30) - 会場:
- 東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー
- 発表:
小野、弘中、寺島、今井、西村グループ
=小学校教員+美術館学芸員+指導主事 -
進行:
一條彰子(東京国立近代美術館 企画課 主任研究員)
講評:
長田謙一(名古屋芸術大学美術学部・同大学院 教授) -
三澤、田中、松永、濱脇、亀井グループ
=中学校教員+美術館学芸員+指導主事
-
進行:
真住貴子(国立新美術館 主任研究員)
講評:
東良雅人(文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官(併)国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官)
概要
10年前に指導者研修がスタートした時から、グループワークはこの研修の核です。今年も100名の受講者が10のグループに分かれ、東京国立近代美術館の作品のうち、1点から数点を約4時間かけて鑑賞活動を行いました。この活動の目的は、児童・生徒のための鑑賞教育の検証にあります。しかしいきなり雛型を作ってしまうのではなく、まず指導者である受講者自身が実作品を前に鑑賞を体験することによって、子どもたちの内面に起こり得るさまざまな変化を想定しやすくしようとするものです。また、グループメンバーの考えに触れることで、鑑賞の多様性を認識し、それを共有することで広がる鑑賞教育の可能性を実感されたことと思います。
ワークのまとめとして、小学校教員を中心とするグループと中学校教員を中心とするグループに分かれ、各作品の前で活動報告を行いました。ファシリテーターによるオリジナリティあふれる進行をベースに、参加者の個性が反映された発表からは、充実した活動の様子がうかがわれます。
*グループワークの「活動内容」、「発表」は、ファシリテーターが執筆した。
*「受講者感想」は、研修最終日に回収したアンケートより抜粋した。
総評
長田 謙一
(名古屋芸術大学美術学部・同大学院 教授)
小学校の5つのグループの発表を拝見しました。教員・指導主事・学芸員という三つの立場が親しく交流し、美術館をもっと学校に引き寄せるためのいろいろなアイディアが実りを結びつつある現場を、あちこちで見ることができました。と同時に、鑑賞に対するアプローチが、幅広く奥行きのあるものになってきたなあと、昨日の10周年記念シンポジウムから連続する形で強く感じました。
例えばあるグループでは、植物がビッシリ描かれている作品を、まずは植物図鑑にあたって名前や場所を特定してみるというアプローチから始め、その後徐々に、顔料や支持体に注目し、これが布に描かれていると知ったら小学生はびっくりするだろう、というようなことが話し合われていました。そのようなときめくようなことが各グループに用意されていて、大変スリリングで多様なグループワークでした。
私は、中学校のグループワークも同時に拝見していましたが、中学校でも同じような特徴が、また違う角度によって現れていました。例えば、戦争画をどう扱うかという難しい問題に取り組んだグループがあり、私はとても興味を持って見ていましたが、創意に満ちたアプローチを工夫されていました。小学校も中学校も、今年10周年にふさわしい、多様で奥行きの深まったグループワークでした。
東良 雅人
(文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官(併)国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官)
子供に近づく手段として、教材研究が大切です。スマホやゲームが当たり前にある時代、子供たちの世界を共有していく手段として、しっかり教材の研究をしていただきたいと思います。
-
今井グループ(小学生対象)
だれかと一緒に「自分八景」
ジュリアン・オピー
《日本八景》
-
小野グループ(小学生対象)
美術館とつくり、つながる鑑賞
川端龍子
《草炎》
-
亀井グループ(中学生対象)
みること、かんがえること、つながること―さまざまな鑑賞体験を通して中学生の鑑賞を模索する
竹内栖鳳
《飼われたる猿と兎》
-
田中グループ(中学生対象)
みること、みつめること~まなざしから中学生の鑑賞について考える
マン・レイ
《布に包まれたオブジェ》
厳培明(ヤン・ペイミン)
《スーダンの少年》
-
寺島グループ(小学生対象)
子どもの発達と鑑賞
岡本太郎
《燃える人》
-
西村グループ(小学生対象)
子供の見る力を高めるワークシートをつくろう
藤田嗣治
《自画像》
アンリ・ルソー
《第22回アンデパンダン展に参加するように芸術家達を導く自由の女神》
-
濱脇グループ(中学生対象)
中学生とピカソ、いろんなピカソとどう近付ける?
ピカソ
《ラ・ガループの海水浴場》
-
弘中グループ(小学生対象)
子どもたちが作品を見る時にわたしたちに何ができるだろう?を考える
パウル・クレー
《山への衝動》
-
松永グループ(中学生対象)
中学生の鑑賞に適した題材(作品)について考える
ルノワール
《木かげ》
デュシャン
《泉》
-
三澤グループ(中学生対象)
批評に挑戦する
藤田嗣治
《アッツ島玉砕》