編集後記

記念すべき第10回目の指導者研修でした。実は指導者研修の前日には、東京国立近代美術館講堂を会場に、「美術館と学校 鑑賞教育のこれまでとこれから」と題した10周年記念シンポジウムが開催されていました。全内容がサイトに掲載されていますのでぜひご覧ください。これにあわせて実施した10年間の受講者へのアンケート調査によると、研修参加によって「鑑賞教育の知識やスキルが向上した」94%、「授業や研修会で活用できた」95%、「過去10年間で鑑賞教育を取り巻く状況が良くなった」74%となっており、本研修が果たした役割を再確認することとなりました。国立美術館は今後も本研修を続行することを決めており、現在その内容を検討中です。(一條)

指導者研修自体が初めての参加でしたので、まずは見学させていただきました。地方でもこうした研修は行われておりますが、やはり国の研修は規模が大きいので、参加者も学芸員や教員など様々な方がいらっしゃいますし、その交流だけでも大きな意味があると感じました。また、印象的だったのは、グループワークで、それぞれの講師の先生の個性が出ていて楽しく、一口に鑑賞教育といっても、そのやり方は幅の広いものだと改めて考えさせられました。山の頂上は一緒でも、登るルートは様々といったらいいでしょうか。それぞれの講師の先生が選ばれたルートに、その先生の人生を垣間見るような感じがいたしました。(真住)

今年はワールドカフェの司会という立場で、参加者のみなさまが更により具体的に子どもたちにまつわる鑑賞教育について話し合われている姿に接することができました。グループワークなどを通して、自らが実際に作品を鑑賞し、作品や鑑賞体験や実践に移す方法などを考えることで、一言に鑑賞と言っても、単純に楽しいときから時にはエネルギーをかなり要する少々つらいときまで様々な時間を全員で共有できているからこそ生まれている話し合いなのではないかと感じました。ぜひ、その生の体験を現場に持ち帰り、研修での鑑賞体験や参加者と話し合われたことを思い起こしながら、それぞれの実践へと結びつけて行っていただきたいと思います。(藤吉)

10年目の指導者研修を今回もお手伝いさせていただきました。思い返せば、最初の1、2回は深夜まで準備作業。ある年度は結局、帰宅できなかったこともありました。日によって会場が違うことは、参加者の皆さんにとっても面倒だったかもしれませんが、私たち運営スタッフにとっても機材等を引っ越ししなければならないのは、一日のスケジュールを終えた後では、少々つらく、翌日は筋肉痛という時もありました。回を進めるごとに無駄を省き効率的に運営できるようになってきました。「引っ越し荷物の積み込み」が30分台に突入した時には、内心「やった!」と思いました(ほぼ、自己満足の世界ですが)。作業の効率化は、結果的には運営上の余裕となり参加者にとっても良い影響になると思います。これからも気持ちよくご参加いただける研修を目指し努めてまいります。(室屋)

今年度よりアンケートをウェブで回収することになり、参加されたみなさまの様々な想いをしっかり読み取ることができました。少し時間がおかれてから書かれた感想には、現場へ戻ったらどのようにこの研修を活用しよう、どのように拡げていこうと真摯に考えられている姿が思い浮かびあがります。これまで参加された方には復習の意味としてお読みいただきたいですし、これから参加される方には、ぜひこの報告書をお読みいただいて、どのように研修を現場で活用すればよいか、事前にイメージトレーニングして参加いただければと思います。この3年ほど前からウェブ編集を担当しておりますが、今年が担当する最後の年となりました。この研修に参加される、あるいは携わるみなさまの末永いご活躍をお祈りしています。(井上)

研修スタッフ・関係者リスト

講演・講評
東良 雅人 文部科学省初等中等教育局 教育課程課 教科調査官
(併)国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官
神野 真吾 千葉大学教育学部 准教授
長田 謙一 名古屋芸術大学美術学部・同大学院 教授
山田 一文 埼玉県教育局南部教育事務所 指導主事
ギャラリートーク分析
本間 美里 東京都港区立御成門小学校 教諭
奥村 高明 聖徳大学 児童学部児童学科長 教授
ファシリテーター
今井 陽子 東京国立近代美術館 工芸課 主任研究員
小野 範子 茅ヶ崎市立緑が浜小学校 教頭
亀井 愛 三井記念美術館 教育普及員
田中 晃 川越市立大東西中学校 教頭
寺島 洋子 国立西洋美術館 学芸課 主任研究員
西村 德行 東京学芸大学 芸術・スポーツ科学系 美術・書道講座 准教授
濱脇 みどり
西東京市立青嵐中学校 教諭
弘中 智子 板橋区立美術館 学芸員
松永 かおり 東京都町田市立金井小学校 副校長
三澤 一実 武蔵野美術大学教職課程研究室 教授
サブファシリテーター
江藤 祐子 三菱一号館美術館 教育普及担当
木村 拓也 大田区立龍子記念館 学芸員
杉浦 央子 国立西洋美術館 学芸課 研究補佐員
関 聖美 国立国際美術館 学芸課 研究補佐員
平谷 美華子 東京富士美術館 学芸員
本間 美里 東京都港区立御成門小学校 教諭
松山 沙樹 京都国立近代美術館 学芸課 特定研究員
矢花 俊樹 埼玉県立近代美術館 学芸員
吉井 有紀 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 教育普及担当
吉澤 菜摘 国立新美術館 学芸課 アソシエイトフェロー

運営スタッフ
一條 彰子 東京国立近代美術館 企画課教育普及室長 主任研究員
本田 美紀子 独立行政法人国立美術館 本部事務局 係長(普及・研修担当)
平川 恵子 独立行政法人国立美術館 本部事務局 主任(普及・研修担当)
岡村 愛 独立行政法人国立美術館 本部事務局 係員(普及・研修担当)
藤田 汐路 独立行政法人国立美術館 本部事務局 事務補佐員(普及・研修担当)
出村 朋 独立行政法人国立美術館 本部事務局 事務補佐員(普及・研修担当)
細谷 美宇 東京国立近代美術館 企画課 研究補佐員
今井 陽子 東京国立近代美術館 工芸課 主任研究員
西岡 梢 東京国立近代美術館 工芸課 研究補佐員
成田 暢 東京国立近代美術館 工芸課 客員研究員
花井 久穂 東京国立近代美術館 工芸課 キュレーター研修生
松山 沙樹 京都国立近代美術館 学芸課 特定研究員
寺島 洋子 国立西洋美術館 学芸課 主任研究員
横山 佐紀 国立西洋美術館 学芸課 主任研究員
杉浦 央子 国立西洋美術館 学芸課 研究補佐員
藤吉 祐子 国立国際美術館 学芸課 主任研究員
関 聖美 国立国際美術館 学芸課 研究補佐員
鈴木 俊祐 国立新美術館 総務課 係長
羽田野 愛 国立新美術館 総務課 係員
真住 貴子 国立新美術館 学芸課 主任研究員
吉澤 菜摘 国立新美術館 学芸課 アソシエイトフェロー
木内 祐子 国立新美術館 学芸課 研究補佐員
林 奈穂 東京国立近代美術館 企画課 インターン
森 万由子 東京国立近代美術館 企画課 インターン
岡地 智子 東京国立近代美術館 工芸課 インターン
齊藤 未来 東京国立近代美術館 工芸課 インターン
岡田 実沙子 国立西洋美術館 学芸課 インターン
大城 茉里恵 国立西洋美術館 学芸課 インターン
梶西 由記子 国立西洋美術館 学芸課 インターン
川口 裕加子 国立西洋美術館 学芸課 インターン
佐藤 芳哉 国立西洋美術館 学芸課 インターン
野村 佳助 国立西洋美術館 学芸課 インターン
山本 真弓 国立西洋美術館 学芸課 インターン
若杉 友美 国立西洋美術館 学芸課 インターン
壇 綾美 国立国際美術館 学芸課 インターン
竹ノ下 彩香 国立新美術館 学芸課 インターン
森崎 由衣 国立新美術館 学芸課 インターン
佐藤 詩織 国立新美術館 学芸課 インターン 
技術スタッフ
室屋 泰三 国立新美術館 学芸課 主任研究員
佐藤 洋二 東京国立近代美術館 企画課 研究補佐員
津田 朋子 東京国立近代美術館 企画課 研究補佐員
数原 潔 国立新美術館 学芸課 研究補佐員
記録編集
井上 絵美子 国立新美術館 学芸課 研究補佐員

国立美術館の教育普及事業等に関する委員会 委員
奥村 高明 聖徳大学 児童学部児童学科 教授 
小野 範子 茅ヶ崎市立緑が浜小学校 教頭
神野 真吾 千葉大学教育学部 准教授
長田 謙一 名古屋芸術大学美術学部・同大学院 教授
西村 德行 東京学芸大学 芸術・スポーツ科学系 美術・書道講座 准教授
濱脇 みどり 西東京市立青嵐中学校 教諭
東良 雅人 文部科学省初等中等教育局 教育課程課 教科調査官
(併)国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官
松永 かおり 東京都町田市立金井小学校 副校長
三澤 一実 武蔵野美術大学教職課程研究室 教授
山田 一文 埼玉県教育局南部教育事務所 指導主事

編集
月岡 大輔 月岡編集企画室
撮影
玉田 安生 スタジオダイス
藤川 素子 スタジオダイス
イラスト
宇田川 一美  
ウェブ
渡部 護弥 イークリエイト ディレクター
栃澤 亨 イークリエイト