これまでの指導者研修では、初日のグループワークの時間にギャラリーの課題作品の前でグループワーク・ファシリテーターが対話鑑賞を行なっていました。しかしながら今回はオンライン開催となったため、Zoomの画面共有機能を用い、9グループに分かれてウェブ教材「鑑賞素材BOX」の高精細画像のオンライン対話鑑賞を行ないました。
鑑賞ファシリテーターは、コロナ禍により2020年10月から一般向けにオンライン対話鑑賞を定期的に開催している東京国立近代美術館のガイドスタッフ8名と、同じくオンライン鑑賞プログラムを2021年秋に開始した工芸館の研究員が務めました。
冒頭では「対話鑑賞3つのルール」を伝え、「みんなで、みると、みえてくる」を合言葉に、60分間で2作品を鑑賞しました。
【対話鑑賞3つのルール】
1. オープンに話す
2. 他人の意見を否定しない
3. 作品以外の情報は見ない
また、対話鑑賞終了後には、実際に操作する画面を共有しながら鑑賞素材BOXの使い方を紹介しました。このウェブ教材を、研修終了後も授業で活用していただくことを期待しています。
鑑賞素材BOX(サイトリニューアルのため、令和4年度は当面の間、非公開となる予定です)
https://box.artmuseums.go.jp/
鑑賞素材BOXの使い方
https://box.artmuseums.go.jp/guide/index.html
対話鑑賞とは「探究的な鑑賞」のひとつで、現在、鑑賞教育で広く用いられている方法です。参加者全員で話しながら見るという特徴があり、その進行役はファシリテーターと呼ばれます。ファシリテーターは、参加者の興味関心に基づきながら発言を引き出し、双方向的に進めます。「アートに正解はない」ことを前提に、誰の発言も否定しません。また、先入観を排し参加者自身の気づきを促すために、作者名や題名などを最初から教えることはしませんが、作品理解に必要な情報はタイミングを見計らって伝え、参加者自身の解釈が深まるようにサポートします。
対話鑑賞は、学校教育においても「主体的・対話的な深い学び」や、「教科横断的な学び」に適応した方法です。子供たちは対話鑑賞で次のようなことを行なうことにより、さまざまな力を自然に身に着けることができます。
日 時 | 令和3年 11月29日(月)
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目 的 | 対話鑑賞を体験し鑑賞ファシリテーションを学ぶ。また、午後のグループワークに向けての共通体験とする。 |
方 法 | 導入の後、参加者は10名ずつのグループ(午後のグループワークと共通)に、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って分かれる。ファシリテーターは、ウェブ教材「鑑賞素材BOX」から国立美術館の所蔵作品を画面共有し、適宜拡大などしながら対話鑑賞を行なう。 |
司 会 | 一條 彰子(東京国立近代美術館 企画課 主任研究員) |
鑑賞素材BOX紹介 | 細谷 美宇(東京国立近代美術館 企画課 特定研究員) |