中学生対象

グループワーク

東良グループ/松永グループ/道越グループ

東良グループ

鑑賞教育の意味と学校と美術館の連携について考える
ファシリテーター
東良 雅人(京都市総合教育センター 副所長)
受講者
10名(中学校教諭6名、指導主事1名、学芸員3名)
課題作品
ポール・ゴーガン
《ブルターニュ風景》1888年
活動内容
  1. グループエリアを自由鑑賞し、その中で、中学生の鑑賞の活動で対象として扱えると思える作品を1点選んでおく。
  2. 自由鑑賞後、自身が選んだ作品を紹介し、「何故その作品が中学生の鑑賞の活動で適していると考えたか」根拠を明らかにして発表する。
  3. 「学校教育として」「社会教育として」「生涯教育として」の3つの視点から「鑑賞教育を通して身に付けたり、学べたりすること」について2つのグループに分かれてディスカッションし、発表する。
  4. ポール・ゴーガンの作品である《ブルターニュ風景》を「情報なし」と「情報あり」のそれぞれで鑑賞し、鑑賞における「情報」について考える。
  5. 以下の①から⑤の美術館の特質を活用した鑑賞について考える。
    ①実物との出会い ②展示室という空間 ③知の宝庫 ④テーマ性に基づいた展示 ⑤学芸員等の専門性
  6. 2つのグループに分かれて、学校での事前学習―美術館での鑑賞活動―学校での事後学習のパッケージによる学習活動を考え、グループごとに発表する。
  7. グループワークの振り返りとまとめ

選んだ鑑賞で使う作品についての解説をしています

ゴーガンの作品を読み解いていきました

美術館を活用した授業プログラムを考えました
感想

今回のグループワークでは、美術作品に囲まれながら、鑑賞活動のねらいを明確にするために必要な鑑賞教育における「教育」の意味の明確化や、 作品等の情報についての考え方に始まり、美術館を訪れた時間だけで全てを完結するのではなく、 学校で行なう事前学習や事後学習と美術館の活動を組み合わせた展開などについて考えました。 参加者の皆さんの学校と美術館の状況はそれぞれですが、 本研修会での鑑賞教育に対する「視点」や「考え方」が今後の各地域の子どもたちの豊かな鑑賞教育の充実に繋がれば幸いです。(東良 雅人)


松永グループ

造形的な視点を働かせて深い学びに導く鑑賞の在り方
ファシリテーター
松永 かおり(世田谷区立砧南中学校 校長)
受講者
7名(中学校教諭5名、特別支援学校教諭1名、学芸員1名)
課題作品
ジョン・エヴァレット・ミレイ
《狼の巣穴》1863年
ギュスターヴ・クールベ
《罠にかかった狐》1860年
活動内容
  1. ファシリテータからグループワークの趣旨とテーマについて説明
  2. 《狼の巣穴》でギャラリートーク①「造形的な視点を働かせること」について情報共有
  3. 2での情報を意識しながら《罠にかかった狐》でギャラリートーク②鑑賞素材BOX、国立西洋美術館HPによる情報収集やICTの活用について紹介
  4. ICTの有効活用について協議
  5. 各自でエリア内の作品を1つ選定し、テーマに即した鑑賞プログラムを検討
  6. 2つのグループに分かれて情報共有・協議
  7. 情報共有、まとめ

《狼の巣穴》でギャラリートーク

WEBやコンテンツで新しい連携を模索

協議でもICTを有効活用
感想

一つの作品をみんなで鑑賞し、対面研修の良さを改めて感じました。 学校では主体的・対話的で深い学びの視点に基づく授業改善が求められていますが、鑑賞では従前から子供の主体性を引き出し、対話による協働的な学びが行われてきました。 では、鑑賞における深い学びとはどういうものなのか? 平田先生のご講演やICTの有効活用を踏まえ、受講者のみなさん自身が造形的な視点を働かせながらじっくり考え、その答えに迫っていきました。(松永 かおり)


道越グループ

子供が主体的に学びを深める鑑賞のあり方
ファシリテーター
道越 洋美(藤枝市立岡部中学校 教頭)
受講者
10名(中学校教諭7名、指導主事1名、学芸員2名)
課題作品
エドワールト・コリール
《ヴァニタスー書物と髑髏のある静物》1663年
活動内容

1.研修の目的共有と自己開示

  • エリア内の作品を自由に鑑賞し、好きな作品を選んでの自己紹介
  • 課題作品を全員で鑑賞し意見交換

2.課題作品について語り合う

  • 造形的な視点をもとにグループで鑑賞し描かれているものを付箋に書き出す
  • 作者の意図や表現の工夫、作品全体のイメージを語り合いながら、グループで作品のタイトルを考える
  • それぞれのグループでの話し合いを共有した後、「ヴァニタス(寓意画)」についての情報を得る

3.子供が主体的に取り組むための鑑賞プランの提案

  • エリア内の作品から一つ選んで、個人で鑑賞活動プランを考える
  • 子供の学びが深まるような問いや、ICTの効果的な使い方などを視点に入れながらグループで話し合う

4.振り返り

  • グループワークの成果を全員で語り合う
  • 今後、鑑賞教育のリーダーとして発信したいことを考える


導入/課題作品を皆で鑑賞中

中盤/小グループで作品を読み解く

終盤/振り返りの場面
感想

3年ぶりに美術館で行なわれたグループワークでは、多様な価値観で積極的に語り合う受講者の皆さんの熱意に圧倒される場面が何度もありました。 全国各地で培ってこられた鑑賞教育の実践の充実ぶりを実感いたしました。今回、西洋美術館でその歴史的背景なども含めて作品を鑑賞することで、私たち自身の多様な見方や感じ方が引き出され、 新たな価値をつくり出すことの楽しさや感動を味わうことができたと思います。今後それぞれのお立場で、人や作品に向き合って学ぶ「一期一会」の学びの意義を伝えていただけることを期待します。 最後になりましたが、この研修に参加してくださった皆さん、グループワークでご一緒していただいた皆さんに心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。(道越 洋美)