3年ぶりの対面開催ということで、もとより厳しい感染対策を施しておりましたが、直前にコロナ第7波で全国の感染者数が急増。主催側のメンバーが欠席することになっても運営できるよう、 今回初めてファシリテータや司会の「代役表」を作成して臨むこととなりました。みなさまのご協力もあり、無事に開催することができて本当に良かったです。 恒例のワールドカフェも感染対策のため方法を変更しましたが、高い評価をいただけたのは、やはり向き合って話し合う手ごたえを、みなさんが感じられていたからだと思います。 受講されたみなさんがこの学びを地域で伝えてくださいますよう、期待しております。(一條彰子|国立美術館 本部 学芸担当課長)
今年は研修全体を動画で記録し短く編集の上、オンライン上にて公開しました。この研修のユニークな構成やその充実した時間の価値が、参加された方々の声を通して広がっていくことを願っています。本物の作品を前にした対話的な鑑賞や、テーブルトークでのいきいきとした議論の場には、予定調和ではなく、かつ心理的に安全な開かれた雰囲気があり、主体的・対話的で深い学びが起こる瞬間がたくさんありました。周りのご関心のある方々ともぜひ一緒に視聴していただければと思います。 (稲庭彩和子|国立美術館 本部 主任研究員)
今年はコロナ禍でのリアル開催に踏み切りましたが、皆さまを無事に迎えることができて良かったと感じています。やはり美術館空間の中で作品と出会うこと、全国の指導者仲間と出会い討議することなど、 本研修の意義を再確認することができたのではないでしょうか。私自身はグループワークの補助、事例紹介の講師の選定、ワールドカフェ改めテーブルトークの内容検討など、研修全体の運営に携わらせていただきました。 参加された皆さまにとって明日の実践へと繋がる機会となったなら幸いです。(鈴木智香子|国立美術館 本部 研究員)
今年は「事例紹介」の司会を担当しました。3つの事例からは、鑑賞を通して育成する力が図工・美術という枠を超えて、地域へのまなざしの更新や粘り強く考える力の育成など、 子供たち自身が自分らしく豊かに生きていく上で役立っていくことが示されていたと思います。また2日間を通して、 受講生の皆さん自身が子供たちに寄り添いながら共に学び、見方や考え方をアップデートしていこうとされていた姿が印象的でした。濃密でエネルギッシュな2日間、お疲れ様でした。 (松山沙樹|京都国立近代美術館 学芸課 研究員)
国立西洋美術館においては4年ぶりの研修開催となりました。参加者の皆様を展示室にお迎えし、作品の前でグループワークが行なわれるのは久しぶりでしたが、鑑賞の本質を改めて確認しながら、 作品をじっくりと見たり、調べ学習を取り入れたり、ICTを活用したりと、ヴァリエーション豊かなアプローチで作品に向き合い、活発に意見が交わされる様子が印象的でした。 私自身も大いに刺激を受け、改めて所蔵作品の鑑賞について考える機会をいただきました。ありがとうございました。(酒井敦子|国立西洋美術館 学芸課 主任研究員)
グループワークで印象に残った言葉があります。「人の意見で自分の見方が揺さぶられるのが最初は不安だった、でもそれが楽しくなった」。展示室でただ作品を見る時間。自身と他者のそれが重なって生まれる対話や思わぬ発見。困難な時代にこそ静かな出会いと変化を許す空間が重要かもしれない、そう在り続けるのが美術館のひとつの役割ではないかとふり返ります。場をより活かす方法を共に探る、貴重な2日間でした。関係各位に御礼申し上げます。 (秋田美緖|国立西洋美術館 学芸課 研究員)
星先生のグループを補佐しました。鑑賞で難しいのは作品についての情報の提供の仕方ですが、その点、今回選ばれた作品はもともと情報の少ない作品でした。 星先生は、対象が高校生ということを念頭に、最初は情報なしで対話をはじめ、次は作家について、次は時代背景について、さらに作品の批評についてと段階的に自然に情報を出され、 ディスカッションしていくうちに、いつしか皆さん深い鑑賞に至っていたのが印象的でした。 (真住貴子|国立新美術館 学芸課 主任研究員)
国立新美術館で指導者研修が実施されるのは、2018年以来のことです。2日目の朝、講堂に続々と入ってくる受講者の姿を見て、懐かしさを覚えると同時に、間隔をあけて配置された座席にウィズコロナの研修であることを実感しました。全日程を対面で実施した今回の研修でしたが、事例紹介1件がリモートでの発表になったほか、会場に来られなかった受講者のために講演部分の動画を事後配信するなど、オンラインによるサポートの面で進化を感じました。 対面とオンライン双方の長所を活かしながら、今後も充実した研修が継続されることを願っています。(吉澤菜摘|国立新美術館 学芸課 主任研究員)