アンケート集計
美術館/学校と連携した鑑賞教育のうち特に、
②鑑賞と表現(制作)をつないだ授業について
小学校教諭
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- 美術館で見た作品+dvdで、自分が小人になったらどんな暮らしがしたいか、どんなことができるかなどを考え絵にかく活動(新潟県)
- 当方が所属している川崎市図画工作科研究会では、川崎市岡本太郎美術館と連携し、教員向けの夏季実技研修を行ったり、出前授業を行ったりしている。アートカードによる作品の見方をゲーム(この作品の題名を当てる、○○にプレゼントするなら・・・)を通して学んだり、実物大ポスターで実際の大きさにふれたりできる。その後、美術館にて本物にふれる。当方も、これまで、美術館の後、制作の授業をしてきた。(模写や平成の土器づくり、文字アートなど)本物の岡本太郎作品にふれたあとの臨場感ある表現を子どもができたと感じる。(神奈川県)
- 6年生対象に「あそびでお」という題材名で実施(全4時間の活動)。2時間:ビデオカメラと大型テレビを活用し、遠近法を利用しどんな活動ができるか、グループで考えてみる。2時間:泉太郎さんを招いて、泉さんの作品を鑑賞。その後、グループごとにあそびでお作品を撮影し、みんなで鑑賞する。(東京都)
- 平成21年度(5年)「僕も私も観光大使」(ジオラマ制作):山田卓司氏講演・技術指導→生涯学習センターでの一般公開、(5年)「光の展覧会」(オブジェの制作と保護者・地域への公開)→光遊び(光の持つ面白さや特性を多様な光源や遮蔽物で遊ぶことによって理解する)→光のオブジェの制作(どこにどんな光の世界を作るか・どんなオブジェにするのかを考え制作する→光の鑑賞会(夜の校舎に光のオブジェを点灯させ幻想的な世界を楽しんでもらう):保護者に呼びかけ家族や近所の人たちに公開。
・平成24年度(6年)「今自分を見つめて」(卒業制作:自画像)→色遊び(多様な技法・表現方法の体験)→ゴッホ「8人の自画像」(付箋と模造紙を使ったグループによる語り合い・評価)→自画像の制作(平面・半立体・立体)→発表・展示会
・平成25年度(5年)「星月夜」→色遊び→「どんな感じ?」色遊びの経験を活かして自分の感情を多様な方法で表現する。それをグループで、互いにどんな感情を表しているのかを想像し、クイズ形式で考え合って楽しむ。→「星月夜」を個人・グループで鑑賞する。付箋と模造紙を使って、感じたこと・考えたこと・見つけたこと・信条と表現の関係などをまとめ、発表する
・平成26年度(4年)「新海誠展」鑑賞:アニメーションの世界と表現の工夫の発見→大岡真ことば館とのコラボレーション(静岡県)
- 初めての時は、事前授業で子どもたちに、先生たちが感動した作品をそれぞれ子どもたちに紹介。2回目は、事前に浮世絵について紹介したり、色なしの白黒のものに自分で色を考えてつけさせてみたりとわりと時間をとってみました。3回目は先生のおすすめポイントの紹介のみ(大阪府)
- 子どもたちに力を付けさせるため相応しい作家の作品を選び、それを基にして題材を考え、絵画や立体作品として表現させた。また、その前後に(題材によって異なる)学芸員さんからギャラリートークをして頂いた。(兵庫県)
中学校教諭
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- 研修旅行中の時間設定だったので、周囲を含めての観察スケッチと感想をレポートにまとめたのみ。(北海道)
- 美術館で行う模造のケーキを作る造形作家との制作体験活動に参加し、実際に学校の美術部生徒20名がそれぞれに自分がデザインする模造ケーキを完成させた。その作品は学校祭の美術展に展示した。(秋田県)
- 言葉のやりとりは常に連動していると思います(机間指導)。(宮城県)
- 人物画の構想を練る時に①の絵を鑑賞して人物画の制作の中で鑑賞を取り入れた。その後、友だちをモデルに友だちらしさを表したポーズでコンテ画に取り組んだ。(石川県)
- マックス・エルンストの作品を鑑賞し、フロツタージュやデカルコマニーをして表現につなげました。(愛知県)
- 抽象画の鑑賞後、抽象画の制作を行った。(香川県)
- 鑑賞授業後、自画像を描いた。自分の思いをじっくりとよく考え、作品に表わすことができた。(大分県)
- 鑑賞後に作品から得たインスピレーションを元に、同じモチーフを子どもなりの表現で描く。(沖縄県)
学芸員
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- 「○○なあおもり犬をつくろう」:学校団体来館の際に、鑑賞と創作を組み合わせたプログラムとして行っている。 まず大型の彫刻作品「あおもり犬」を班ごとに鑑賞し、ギャラリートークを行う。その後、紙ねんどを使って、生徒1人ひとりが「羽のあるあおもり犬」や「王様みたいなあおもり犬」などオリジナルのあおもり犬を制作する。最後に、完成した作品をお互いに見せ合う鑑賞タイムを設ける(青森県)
- 例えば、ネコやライオンの写真展のときはスチレン版画で動物を描いてみよう、日本画の展覧会のときは墨や顔彩で描いてみよう、など関連をもたせた実技も行っている。(秋田県)
- 授業ではないが鑑賞と表現(制作)を併せた講座は以前から開催している。制作するもののテーマにあわせて、同じテーマで作られている美術作品を対話型鑑賞法にて鑑賞し、作家の考え方や感じ方、インスピレーションを参考に各々の制作に取り組む展開。また展示されている作品についてその形態や素材感などについて美しさや良さを味わった後に同じ素材を用いた制作をする展開など。(福島県)
- 授業とのつながりは先生の裁量によってかなり差がでる。積極的な先生はプログラムを構成する段階から現地を訪れ、一緒にプログラムを組んでいくことができた。(千葉県)
- 特別展プログラムの一貫として、簡単な制作を30分程度行った後、展示室に移動して鑑賞教育を行う場合がある。(山梨県)
- 本来は鑑賞と表現は連動させて実践しなければならない、と考えるが、それぞれが単独で二極(二分)化しているのが現状ではないだろうか。それが課題である。当館を活用していただく美術部の指導者には、その意識があるので、連携した授業の仕組み作りを今後の課題としたい。(東京都)
- 学校との連携の企画展「BANG―BANG みよう×つくろう」では、子どもたちの学校で制作した作品を展示するのですが、制作する前にテーマを設定する際に、美術館に実際に足を運んでもらい、同じテーマの作品をみたり、展示方法を考える時間を設けている。意識的に鑑賞と制作を結び付けて子どもたちに作品作りをしてもらうような機会を提供している。(富山県)
- 鑑賞した作品の作家になりきった作品制作(1時間内でできるもの)。(長野県)
- 中学2年生とともに、鑑賞から制作、鑑賞作品と生徒の作品を一緒に展示した。花をモチーフに凹凸のあるマチエールで描かれた収蔵作品を対話型鑑賞で鑑賞し、その印象を出発点として、自分なりに身近な植物を描く。ホイップ粘土と呼ばれる柔らかな粘土を描画材にして、鑑賞作品に似た凹凸のある描写もできるような制作とした。(長野県)
- 紅白梅図屏風の鑑賞から、屏風や和菓子のデザインの授業を、学校の教師と連携して実施した。(静岡県)
- 美術館のポストカードをラミネートしたアートカードを用いて、キーワードゲームやプレゼントゲームなどを行う。その後、模造紙に模擬展覧会を作成する。そのほか、小学2年生を対象に水彩画の自由な描き方を教える授業を行った。自由な表現をスライドで見せた後、絵具遊びをして、モネの作品(線のみ)に塗り絵をしてもらった。それぞれの色が全く違う表現となり、先生方も驚かれていた(先生方が型を教えようとする場合が多いように思われる)。(静岡県)
- 安井曽太郎の風景画と、描かれた風景の実景を並べて鑑賞し、共通点と相違点や、絵画と写真のちがい、「リアルさとはなんだろう」と問いを深めていく。再現的な絵がよい、という思い込みの強い子どもも多いので、そういった絵だけがよい絵ではないということ。
・シャガール≪シレーヌと魚≫の舞台となったニースの写真をスライドで出しながら、「人魚と魚」というテーマで絵を描いてもらう。描いた後に、シャガールの作品を提示して鑑賞し、自分の作品と見比べる。
・自画像制作の授業の前に「画家の自画像」を50枚くらい、テーマごとに鑑賞(抽象画のような自画像、コスプレ自画像、影の自画像、鏡面に映った自画像など)。色々な描き方があることを伝える。
・美術館で作成したアートカードを使った鑑賞ゲーム(名探偵ゲーム、プレゼントゲーム、展覧会ゲーム、プレゼントゲームなど) ―鑑賞と表現をつないだ授業
・プレゼントゲームや展覧会ゲームなどで、アートカードを使ってのポスター作り。ワークシートか模造紙にカードを貼り付け、マジックペンなどで飾り付けをする。(静岡県)
- 鑑賞対話で細部を見た後で、模写をする。その後、気づいたことを感想発表する。日常生活での変化、影響を与えることを目的とするより、単純に絵を観ることが面白いことなんだということや、作家がどういう思いで描いたのか、また友だちがそれを見てどういう感想を持ったのか、他者の視点を学んでほしいと思って行っている。(愛知県)
- 地域の醍醐中学校の美術鑑賞授業の一環において、鑑賞と表現(制作)をつないだ授業が行われます。以前研修に参加させていただきました際のご縁で(当時、ワールドカフェで、このようなことができたらと、話しておりました)、当方の重要文化財、宗達筆「舞楽図屏風」を特別拝観していただき、実物を前に、教員と学芸員のギャラリートークを行うことになりました。中学校側より保護者、教育関係各位にご案内、当方より報道機関にご案内させていただく予定です。今後継続的に展開できるよう、考えたいと思っております。(京都府)
- スライドを使ってモネの色彩についてのクイズを出し、教材を使って「色を目の中で混ぜる」意味を実感する。実際に陶磁器に触れ、その技法やかたちについて推理してもらう。(京都府)
- 鑑賞の後、子どもたちは展示室内で気に入った作品や、気になった作品をスケッチします。約10分間に、3~4個描く子や、1点をじっくりと丁寧に描く子がいます。(大阪府)
- 校区在住の作家の作品を学校に持ち込み、対話による鑑賞授業を行ったあと、作家のこだわっている技法を、同じ画材で体験する。
・作家の企画展の会場で担任がファシリテーターとなって鑑賞授業を行った次の年度に、その作家を学校に招いて制作の授業を行う。(鳥取県)
- ほぼすべての企画展で、展示を鑑賞後に小中学生向けのワークショップを開催。学校関係者・教育研究者はあくまで教材として美術作品を見ており、授業のためには多少のイレギュラーな行為(彫刻を触る、作品の前でお芝居をする)をしてもよいと思っていることを今回の研修でも改めて感じた。 逆に、同じグループになった小学校教員は、作品の美術史的な側面や鑑賞マナーも学んでほしいという美術館や学芸員の考え方が新鮮だったと言っていた。学校関係者が多い研修なので、学校側から考えた鑑賞教育が中心になるのは理解できるが、美術館関係者と学校関係者の考え方のすり合わせの場にもなれば、よりよい協力関係が築け、研修の意味も深まると思う。(福岡県)
指導主事
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- その時の美術展のテーマが9月からの授業の課題に連動した時もありました。(神奈川県)
- 県立美術館は、作家の作品とその制作過程がわかる資料を貸し出している。版画(木版、銅版、シルクスクリーン、リトグラフ)、テンペラ画、油絵、フレスコ画、パステル画、日本画などのボックスがある。あるテーマのもとで版画制作をするにあたり、版画のボックスをお借りした。実際の版木を使って摺りの体験(多版多色)を行うなど、作家の作品の鑑賞の一助として、作品に対しての理解を深めるとともに、自らの表現に生かすことができるよう授業の計画を立てた。本物に触れる機会を持ったことで、自然と子どもたちからも疑問に思ったことや感じたことなど意見の交流がはかられ、見方や感じ方を広げることにつなげることができたと思う。(山梨県)
- コラージュでの絵画制作の授業の導入の前に、絵画作品(アルチンボルト「四季」)の鑑賞を行った。(滋賀県)
その他
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- あおもり犬の帽子をつくるプロジェクト(H24)。 県立盲学校・養護学校との連携により、学校における制作、完成品及び展覧会(奈良美智展)鑑賞を行った。(青森県)
- 鑑賞に対する「表現」は、美術創作の表現ではなく、「ことば」の表現(作文、語り)を重視。ただし、いわゆる「作文力」を評価するものではない。自分のことばを使って表現することの、ひらめきによる、あるいは身もだえするようにねじり出す苦労による「ことば」を集めた。(東京都)
- 美術館から「モナリザ」をパロディー化した芸術作品のスライドをお借りして鑑賞した後、モナリザを大変身させようと呼びかけ、自由に表現させた。(静岡県)