グループワーク D

子どもたちに問いが生まれることば

Group D
課題作品:
パウル・クレー 《山への衝動》 1939年
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受講者:
10名(小学校教諭6名、指導主事1名、学芸員3名)
ファシリテーター:
西村 德行(筑波大学附属小学校教諭)
サブファシリテーター:
関 聖美(国立国際美術館学芸課 研究員)

活動内容


カルタ遊びで正解者が自己紹介

1.アートカードでカルタ遊びをしながら、自己紹介を行う

配られたアートカードの「読み札」を考える。ファシリテーターが読手となり、全員でカルタ遊びをし、正解者が自己紹介をしていく。


2.見つけたり感じたりしたことを記録する

今日の課題が「子どもたちに問いが生まれることば」を考えることであると伝える。《山への衝動》のカラーコピーが配られ、描かれているもの、気がついたことなどを余白に書く(10分)。記入したことが、「子どもたちに問いが生まれることば」を考える際の、大切な資料となる。



イメージや考え方を交換

3.感じたこと、発見したことを話し合う

3グループに分かれ、各自が感じたことや考えたことを話し合う。グループ内で話されたことは、クリーム色の付箋に記入する。さらに「ワールドカフェ形式」で席替えをし、前のグループでの話題をお互いに紹介する。なお、思いついた「子どもたちに問いが生まれることば」はピンクの付箋に、自分たちの中でもやもやしていることはブルーの付箋に記入することにした。独創的な考えや豊かなイメージが楽しく交換されていく。


グループごとに発表

4.全員で集まり、グループごとに発表

席替えと話し合いを繰り返す中で、それぞれの場所ではどのようなことが話されたのか、グループごとに発表する。いろいろな考え方や、また言葉がけがあることをあらためて確認できた。


5.それぞれのグループの発表を整理統合する

模造紙の中心に作品の画像をおき、その周りに付箋を貼った。部分について書かれたもの、また全体について書かれたもの等々、付箋に書かれた内容を分類・整理しながら貼ることで、今日一日のグループワークでそれぞれが感じたり考えたりしたことを共有する。


発表

 Dグループは、グループワークで考えた「子どもたちに問いが生まれることば」をもとに、模擬授業のようなかたちで発表をおこなった。①「何が描かれているように見えるのか」まずは全体を自由に眺め、②「その人は何をしているのだろう」などと、部分に注目してみる。そして③「(いままで見たこと・話したことから、)自分なりに物語を考えてみよう」と投げかけ、全体と部分を合わせて考える。④題名を最後に紹介し、⑤ワークシートの活用など、子どもたちの鑑賞活動をより充実させるワンポイントアドバイスを伝えて発表を終わった。それぞれが配役を嬉々として決め、「解説役」「教師役」「児童役」を熱演していただいた。お疲れ様でした!

グループワーク講評

子どもたちの問いが生まれる言葉がけ、次いで作品への「注目」が検証されました。ここで大切なのは指導者ではなく、鑑賞意欲の持続のためにも、子どもの側の必然性から設定すること。形や色という造形要素からイメージを構築させたところは特によかったと思います。ワークシートの活用はすぐに言語化できない子どもにも有効。鑑賞体験を整理するとともに、学びを深める可能性が期待されました。

東良 雅人


ファシリテーター感想

グループDでは、パウル・クレーの『山への衝動』をもとに、「子どもたちに問いが生まれることば」について考えました。子どもたちが作品の中からお話を見つけたり考えたりするには、どのような手立てが必要であるのか、子どもたちの見方や考え方を充分に引き出す方策について、参加者の先生方と検討しました。『山への衝動』には、車を想像させる部分や人を想像させる部分など、様々な形や色で描かれています。その中で、どのような言葉がけが、子どもたちの創造的な鑑賞活動を可能とするのか。短い時間の中で、なるべく沢山の見方や考え方に触れられるよう、グループ内をさらに少人数に分け、ワールドカフェ方式でグループを幾度か組み替えながら、議論を深めました。意欲的な先生方のおかげで、ファシリテーターの私が一番楽しい時間を過ごさせていただきました。模擬授業を演じていただいた寸劇も最高でした!有り難うございました!D班の先生方に感謝申し上げます!

西村 德行

サブファシリテーター感想

子どもたちに作品をどのような「言葉がけ」によってより深く鑑賞してもらうのかを考えることは、作品を目の前にして鑑賞することから始まるとあらためて感じました。作品をみて最初に気になったこと、そこから深められること、一緒にみているどうしが共有できることなど、ひと言に「言葉がけ」といってもさまざま。鑑賞の進み具合や子どもたちの興味関心のありかなど、さまざまな要因から考えていくことになります。今回の活動をみて素晴らしいと感じたのは、皆さん自身が鑑賞を楽しんでおられたこともさることながら、そこから「言葉がけ」を考えるにあたり、それぞれのご経験からあらゆる子どもたちの反応を想定し、意見を熱心に交換されていたことです。作品の前で自らじっくり鑑賞するからこそ浮かぶリアルな「言葉」、そして実際にどのような「言葉のキャッチボール=対話」が生まれるのか想像力を働かすこと、その大切さを感じました。ありがとうございました。

関 聖美





受講者感想(抜粋)

小学校教諭
  • Dグループでは、1つの作品をじっくり見つめた。見つけたことや感じたことを言い合う中で新たな視点をもつことができた。物語がある絵をゆっくり鑑賞する楽しさを味わえた。子どもたちにもゆっくり鑑賞し、自分の意見や発見したことを伝え、交換する中で新たな発見ができる楽しさを味わってもらいたい。そんな授業がしたいと思った。
  • 他職種の方、他地区の方と話し合ったり意見交換したりしたことがよかった。西村先生のプログラム構成やゆったりした進行も参考になった。
学芸員
  • 教員の方と一つの作品をじっくり鑑賞し、その体験を深めることは今後の参考になった。個々のグループの意見を最後全員でまとめ、演劇として発表する試みは一生忘れられない体験になると思った。
  • 普段話す機会の数少ない先生方とコミュニケーションがとれて良かった。
指導主事
  • 1枚の絵をあんなにじっくり見たことがなかったので得がたい体験だった。グループのチームワークも良かった。

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