アートプラットフォームジャパン

NCARワークショップ006 2026年度全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌ」参加説明会 開催レポート

NCARワークショップ006 2026年度全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌ」参加説明会 開催レポート

2026522日、国立アートリサーチセンター(NCAR)は、全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌへ参加している、ないし参加を検討している美術館・博物館等の担当者を対象に、NCARワークショップ006「全国美術館収蔵品サーチ『SHŪZŌ』参加説明会」を開催しました。

前半では、SHŪZŌの参加方法を中心に基本的な説明を行い、後半では、作品情報の外部連携および作品情報管理の考え方について紹介しました。本稿では、ワークショップの内容をご紹介いたします。

「アートプラットフォームジャパン」概要

はじめに、国立アートリサーチセンター情報資源グループの川口雅子より、リサーチポータル「アートプラットフォームジャパン(Art Platform Japan、略称APJ)」の概要を説明しました。APJは、日本の近現代美術に関する情報発信を目的に、アーティスト、収蔵品、展覧会、文献、美術館・博物館等の各データベースを横断的に検索できるポータルです。そのなかでSHŪZŌは、近現代美術を対象に、日本全国の公開施設が所蔵するパブリックコレクションの作品情報を収録・公開するデータベースとして位置づけられています。

概要説明では、本事業が文化庁のアートプラットフォーム事業から継承されたこと、そして日本の近現代美術に関するコレクションの所在や研究成果を国内外に向けて可視化する必要性が確認されました。また、各館から提供されたデータをNCAR側でSHŪZŌの項目へ割り当てる「マッピング」作業や、出典と日付を明示する公開方針、英語ページでの表示、画像公開に関する著作権法上の整理などについて紹介しました。

「SHŪZŌ」参加方法

続いて、情報資源グループの溝上心太より、今年度のSHŪZŌ参加方法について説明しました。まずデータ提供のスケジュールについて紹介があり、その後、データ授受の具体的な手続きが案内されました。作品データについては、各館の負担をできるだけ抑えるため、既存の収蔵品データベース、Excelファイル、紙の目録など、現在管理している形式に近い形で提供できることを説明しました。全ての項目が揃っている必要はなく、所蔵と所蔵番号を必須項目とし、作家名、作品名、所蔵の英語表記などを推奨項目として、整備できた範囲から段階的に提供できることを共有しました。とくに所蔵番号は、作品と作品データを結び付け、更新時の差分確認を行うための重要な識別子であることが強調されました。

画像データについても、ハードディスク、メール添付など、各館にとって扱いやすい方法で提供できること、ファイル形式やサイズに厳密な制限はないことが説明されました。一方で、作品情報と画像を対応させるため、所蔵番号やAPJ IDをファイル名に用いる、または対応表を添付するなど、紐付けが分かる形で提供することが望ましいとされました。著作権のある作品であっても、SHŪZŌではサムネイルサイズでの表示が可能であり、ダウンロード、転載、ズームは不可とする設定で公開することが紹介されました。

また、公開対象の考え方として、美術館・博物館等の公開施設が所蔵する作品のうち、制作年が1801年以降であるもの、または日本アーティスト事典に登録された作家による作品がSHŪZŌで公開されることが説明されました。制作年が西暦、和暦、時代区分、期間表記など多様な形で記録されている場合でも、何らかの情報が提供されれば、NCAR側で公開対象の判定を行えることが共有されました。

データの可視化および利活用推進に係る外部連携について

休憩後には、SHŪZŌ担当窓口の手錢和加子より、データの可視化および利活用推進に係る外部連携について説明しました。今後、SHŪZŌで公開している作品メタデータをジャパンサーチへ連携することを見据え、画像については、著作権の状況や公開条件に応じて慎重に扱う方針が示されました。SHŪZŌではサムネイル表示が可能な場合でも、ジャパンサーチ側では原則としてメタデータを中心に連携し、パブリックドメイン等として利用条件が整理された画像については、その条件を明示したうえで表示する想定が紹介されました。あわせて、CSVダウンロード等に加え、外部サービスでより活用しやすい形としてAPI公開を検討していることも共有されました。

質疑応答

事前申込フォームや当日のチャットを通じて寄せられた質問をもとに、作品番号の付け方、サムネイル画像の掲載と著作権者への説明、ジャパンサーチとの連携における「つなぎ役」としての扱い、APJ上での検索結果の見方、アクセス解析の公開可能性などについて意見交換が行われました。作品番号については、西暦と通し番号を組み合わせる方法や枝番号を付ける方法が紹介されるとともに、どのような方式を採る場合でも、館内でルールを明文化しておくことの重要性が指摘されました。

作品情報管理のイロハ ―データベースに何を記録するか―

後半の「作品情報管理のイロハデータベースに何を記録するか」では、川口より、美術作品の記録作成に関する基本的な考え方を説明しました。国際的な博物館ドキュメンテーションの標準であるSPECTRUMを参照しながら、搬入、取得・受入、所在移動管理、棚卸し、目録作業、搬出、借用、貸出、ドキュメンテーション計画といった記録作成の機会を整理し、作品情報は公開用のデータだけでなく、館内で作品を適切に管理するための基盤であることを確認しました。

また、登録簿と目録の違いについても取り上げられました。登録簿は、作品を正式に収蔵した時点の事実を記録するもので、原本を後から改変しない性格である一方、目録は収蔵後の調査研究によって明らかになった情報を追加・更新していくものです。そのうえで、所蔵番号、作家名、作品名、材質・技法、寸法などの基本項目から整備を進め、分野、シリーズ名、作品名よみ、制作年、署名・年記、文化財指定、来歴、展覧会歴、提供元作品URLなど、できるところから段階的に充実させていく考え方が示されました。

おわりに

NCARワークショップ006 2026年度全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌ」参加説明会 会場写真
会場風景

今回のワークショップでは、SHŪZŌへの参加にあたって必要となる実務的な手順だけでなく、各館が日々管理している作品情報を、どのように公開・共有・活用につなげていくかが多角的に共有されました。NCARでは、今後も各館から寄せられる質問や意見を踏まえながら、日本の近現代美術のパブリックコレクションをより広く発見・活用できる環境づくりを進めていきます。

執筆者:国立アートリサーチセンター特定研究員 溝上心太